何よりもサクラ/ekクロスEVが「今年のクルマの顔」として文句なく選ばれたことは、日本のクルマ市場がEV元年を迎えたということを裏付けるものだろう。

 三冠の獲得の評価は、ハイブリッド車(HEV)主流の日本クルマ市場でBEV転換を促す大きな節目となり得るということだ。事実、21年度の日本国内の新車登録の約45%がHEVだ。「火力発電の比率が高い国や地域では、必ずしもBEVの方がHEVより環境負荷が低いとは限らない」との正論もあるものの、世界のトレンドに対して、日本市場でのBEVの新車販売比率はまだまだ低いのが実態だ。

 だが、BEV転換のうねりは年を追うごとに大きく、世界的な動きとなっている。日本車OEM各社もBEV開発を急ぎ、輸入車のBEV日本市場投入もここへきて拍車がかかってきた。

 重要なのは、日本市場の場合、高級車EVのボリュームは限られており、全体の4割を占める軽自動車のEV転換が全体の波及度に大きく影響するということだ。その意味で、サクラ/ekクロスEVの投入は、今後の軽市場でEV化が進むかどうかの試金石でもある。

 日産と三菱自は、共にBEVを先行展開しただけの技術力を持っており、今回も共同開発により、搭載電池20kWh、走行可能距離カタログ値180km(通常規定で100~140km)、価格233万~294万円(50万円補助金で100万円台から)という、価格と性能を両立させた軽EVを市場投入した。もっといえば、ここからさらに価格を抑えることができるかが、軽EVの真価として問われているはずだ。

 ただ、皮肉にも日産サクラの公式サイトには「現在、ご注文の受け付けを一時的に停止させていただいております」と販売停止のお知らせが掲載されている。カーオブザイヤー受賞の栄誉がありながら、販売店にとって売るに売れない供給不足が続いているのだ。

日産・三菱自の軽EV快走が揺さぶる
3社連合の行方

 もう一つの注目点が日産と三菱自連合の行方、ひいては仏ルノーを含めた3社連合の行方である。
今回の軽BEVの共同開発は、日産と三菱自が資本提携するきっかけとなった両社の軽自動車事業の合弁会社「NMKV」(11年設立)で行っている。日産が企画・開発し、三菱自(水島製作所)が生産を担う。