通販化、大衆化、少額寄付の増加
ふるさと納税はどう変わったか

 通販化とは、通販感覚でふるさと納税を寄付する人が増えたことを指します。ふるさと納税は、本来、好きな自治体に寄付をすると住民税が控除されるという寄付金控除の制度です。しかし、返礼品を付ける自治体が増えてからは、「実質2000円負担で特産品が届く」というとらえ方をされるようになりました。その後、返礼品の数が数十万点にも膨れ上がり、楽天ふるさと納税に代表されるネット通販のような枠組みがマッチしていったという状況です。近年では、交通、通信、百貨店などさまざまな業態が、ECサイトのようなポータルサイトを運営するようにまでなっています。

 大衆化とは、ふるさと納税をする人の裾野が広がったということです。当初ふるさと納税は、もともとの住民税を多く納めている高所得者を中心に行われてきました。ただ、ここ2~3年で通販化が進み、さまざまなポータルサイトが乱立したことで、広く一般の人が目にし、手を出しやすくなりました。また、今年は、税金控除の手続きが簡単にできる仕組みの「ワンストップ特例」が、スマホでさらに簡単にできるようになったことも影響しています。

 このような流れを受けて、今年特に特徴的な動きと言われているのが、少額寄付の増加です。ふるさと納税というと、1件当たり1万~3万円の寄付が一般的ですが、今年に入ってから数千円台の寄付が増えています。また、さまざまなものが値上がりする中で、「家計を少しでも楽にしたい」という意図でふるさと納税をする人も増えていることが推測されます。

安い、量が多い返礼品が目立つ中で
「本当に質が良いもの」は埋もれやすくなった

 ただこうなると、単に「寄付額の低いもの」や単純に「量が多いもの」といった返礼品ばかりが着目されがちです。一方で、自治体や返礼品を提供する事業者からは、「品物の良さを分かってもらいにくくなった」という声も聞かれています。

 良い品が埋もれやすくなっている今だからこそ、みなさんには本当に良い返礼品を選んでいただけたらと思っています。そこでここからは、ふるさと納税で本当に良い返礼品を選ぶために、絶対にやってはいけないことを三つご紹介していきます。