答えはひとつではない。
いろんな考え方がある
これは義務教育の影響が大きいのかもしれませんが、日本人は多様なものに対して評価することが得意ではない、という印象があります。学校で教わっているのは、ひとつの答え。そして、それが試験に出るから一生懸命に覚える。そうすると、答えは必ずあり、しかも答えはひとつというインプットが植え付けられていく。
海外の学校では、そうではありません。取材で聞いたのは、高校の歴史の授業は答えが教えられるのではなく、それぞれが自分なりの見方を発表していく、という話でした。そうすることで、多様な意見があるということを理解していくのです。
実際、世の中には多様な考え方があります。ところが、日本ではひとつの答えが正しいとばかりに押しつける。建設的な議論ではなく、糾弾ばかりが目立つケースが多い印象があります。何とも寛容ではないところがあるのです。
いろんな人がいるし、いろんな考え方がある。生き方も、仕事のキャリアも、友達のつくり方も、数も多様でいいのです。答えは、ひとつではないのです。
人間関係の悩みのひとつには、「孤独」への怖さがあるようです。だから、周囲といい関係を築こうと頑張る。友達にしっかり振り向いてもらおうと努力する。しかし、これがなかなかしんどくて、疲れてしまう。
しかし、そもそも孤独というのは、そんなに怖いことなのでしょうか。
28歳でフリーランスになったとき、驚いたことがありました。私は当時、住んでいたマンションの一室で仕事をはじめたのですが、自分の部屋には誰もいませんから、誰かと話をする機会というものがなくなったのです。取材や打ち合わせで外出しているとき以外は、自室で原稿を書くわけですが、話し相手は誰もいない。軽口を飛ばすこともできなければ、冗談を言って笑わすこともできない。
会社員時代は、同僚がすぐ近くに座っていて、当たり前のように交わしていたコミュニケーションが、まったくできなくなってしまった。時には、一日中、誰とも会話を交わさずに終わることもありました。これには戸惑ったし、寂しくも思いました。