ソーシャル・ウェブが大企業で活用されることを未だに信じられないと思う人が多いが、一方で思慮深く実践している企業があるのも事実だ。それも保守的な巨大企業で。

 まずブリティッシュ・テレコム(BT)を材料に、ソーシャル・プラットフォームとは何か、どう使うことができるのか理解を進めてみたい。そして、これから数回に渡って、期待と誤解が渦巻くソーシャル・プラットフォームについてひも解いていきたい。

最初はねばり強く中央突破
導入はステップ・バイ・ステップ

 BTは10万人以上の社員が170カ国に広がる巨大組織だ。社内のコミュニケーションは、かねてから課題であり、イントラネットには1990年代から取り組んできた。

 そして、いまや世界最大のソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)となったフェースブックにおいて、BTコミュニティに何千人ものBT社員が自発的に参加するに至って、BTの社内コミュニケーション担当は、ソーシャル・プラットフォームの採用に向けて行動せずにはいられなくなった。

 これだけの組織になると、スカンクワーク的に取り組んでも限りがある。その前に、社のガバナンス上、勝手なことは難しい。

 そこで、人事、法務といった関係部署と対話したが、ソーシャル・プラットフォームの効果の大きさをアピールしたため、かえって警戒された。そのため、既存のものと同様であり、使いやすくシンプルで、洗練されたものだという論調に軸足を移して、頭の固い部門をねばり強く説得した。また、社内規定についてもこうしたツールの展開をカバーできると確認を行った。

 さらに社内外のコミュニケーション責任者からなるBTコミュニケーション・カウンシルを説得して、ようやく2006年8月にソーシャル・プラットフォーム導入が承認されたのである。