参加率も参加回数も
増加早期選考のメリットとは
下図を見てほしい。インターンシップ(ここでは1日程度のインターンシップ類)への学生の参加率は年々上昇して、平均参加回数も増加傾向にある。
さらに学生の意識の上でも、インターンシップが入社/採用に連動している傾向が見られる。
前出のダイヤモンド・ヒューマンリソースの福重敦士氏は、次のように解説する。
「学生がインターンシップ類に参加した会社に入社を決めた割合は3割近くあり、参加した経験が入社企業の選択に影響した割合は8割近くに達している」
これは、インターンシップを契機に、会社や職種、業界についての理解が深まるからだ。
企業側から見ても、インターンシップ類から学生を採用した割合が、501人以上の企業で88%、500人以下の企業でも6割超と非常に高い。インターンシップを通して会社や職種、業界についての学生の理解が深まれば、その後のES提出や面接において、企業の評価も高くなるからだ。
なお、インターンシップ類への参加者に対して優遇策を講じている企業は5割強あり、具体的には「非参加学生の選考よりも早い時期に選考する」が圧倒的に多い。あくまで早期選考ということだが、実際には内々定につながるケースもあるはずだ。
一方で最近、注目されているのが「インターンシップ格差」という現象だ。インターンシップに対する意識や取り組みの差が、就活の結果に直結するのである。
早いうちからさまざまな企業のインターンシップに参加することで早めに内々定をゲットする学生がいる一方、やりたい職種、入りたい会社にこだわってインターンシップにあまり参加せず、その結果なかなか内々定にたどり着けない学生もいる。
前述のように「就活」とは自分の意識を学生モードから社会人モードへと切り替える作業であり、プロセスだ。
現実を見つめて早めに企業と接触し、人事担当者や先輩社員の話を聞くなどして社会人モードにシフトする学生の方が、相対的に有利になることは否めない。いくら就活本やネットで情報を集めても、意識(マインド)が社会人モードになっていないと、ESにしても面接にしてもうまくいかない。
ところが「インターンシップ=就業体験」と思い込んでいる学生は多い。理由の一つとして、中学や高校の授業で経験したインターンシップの多くが仕事体験型であることが挙げられる。「インターンとはこういうもの」という固定概念ができ上がっているのだ。