65年という国内屈指の歴史を持つ経営コンサルティング会社であるタナベコンサルティンググループ(TCG)が、今まで蓄積された企業変革と持続的な成長のノウハウを解説した一冊『チームコンサルティング理論-企業変革と持続的成長のメソッド』を刊行しました。本連載では、各企業が真の経営課題を特定し、常に変革と成長を成し遂げるための提言を本書から抜粋し3回にわたって紹介していきます。第1回目は、「知る・選ぶ・行動する」の三つのサイクルについて解説します。
「知る」「選ぶ」「行動する」三つのサイクル
一般的な企業の組織運営は、経営理念やミッション(使命)に基づいてビジョン(あるべき姿、未来像)を構想し、そのビジョンから中期経営計画を策定して年度方針に落とし込み、社員が日常業務を通じてマネジメントサイクルのPDCAを循環させ、年度目標の達成を目指すというのが基本である。
ただ、戦況(マーケット環境)は常に変化している。変化のつど現状認識を改めて次の作戦を立てなければならない。ただし、いくつも作戦を考えたところで、会社の経営リソースは限られている。あれもこれも取り組むのではなく、重要なものに絞り込んでリソースを重点的かつ集中的に投下しなければならない。そこで優先順位の選択と、勝ち残るための行動が必要となる。したがって本書のタイトルにもなっている「チームコンサルティング理論」においては、PDCAサイクルではなく、「知・選・行」という三つのフェーズを循環させていく。これは、どのコンサルティングファームも持ち得ない、タナベコンサルティンググループ(TCG)独自の戦略サイクルである。
これはTCGの経営コンサルティングのベースメソッドとなっており、1971年に誕生して以来、今もなお多くの成長企業を生み出している。それと同時に、TCGにおいては専門医を安定的に輩出する「経営思考のフレームワーク」となっている(本書P.61 図表2‒1)。『チームコンサルティング理論』は、いわばこの理論の解説書である。