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靴を買えば途上国の子どもにも靴を1足プレゼント
「トムズ」がビジネスと社会貢献の両立に成功した訳

瀧口範子 [ジャーナリスト]
【第231回】 2013年2月7日
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すでに靴200万足を寄付
他企業と異なる社会貢献モデルがカギに

 トムズ・シューズのモデルは、「One-for-One」、あるいは「BOGO(Buy One Give One)」ビジネスと呼ばれる。ひとつ買うと、ひとつが誰か困っている人に与えられる。つまり、消費者ひとりひとりが小さな社会貢献人になれるというもので、それをビジネスが仲介するというわけだ。

 言うまでもなく、企業の社会貢献は今や消費者の評価を左右する大きな要点になっている。福祉活動に寄付をするようなフィランソロピー精神に溢れた企業か、売上の定まった割合をフィランソロピーに向けるようなコミットメントがあるか、社員がボランティアに参加しているか、生産においてサステイナブルな運営を行っているか、などなど。

 しかし、トムズ・シューズのアプローチは、ふたつの面で新しいビジネスモデルとなっている。ひとつは、営利事業と社会貢献が固く一体化していること。もうひとつは、結果的に消費者も参加することによって、ムーブメント(社会運動)を作り出していることだ。

 実は、企業のフィランソロピーが盛んなアメリカでも、近年、そのあり方については疑問が持たれるようになっていた。もちろん、フィランソロピー自体は何も悪いことではない。だが、寄付金を出したらそれでおしまい、といったような企業も多く、その使われ方にまで責任を持たない場合がほとんど。税金対策のため、あるいは外見だけのために寄付はするが、本当に有効な使われ方をしているのかどうかに、企業自体は関わらなくていいと考えてきたふしがあるのだ。

 そうした企業とフィランソロピーの分化が、トムズ・シューズのようなビジネスにおいてはない。しかも、NPOのような非営利事業ではないので、ごく普通の消費者にアピールして、それに賛同する人を仲間につけることができるという方法だ。

 おそらく、トムズ・シューズの製品が比較的安価であったことも手伝ったのだろう。同社はこれまで200万足の靴を、途上国の子どもたちに贈ってきたという。マイコスキーはあるところで、こう語っている。

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瀧口範子
[ジャーナリスト]

シリコンバレー在住。著書に『行動主義: レム・コールハース ドキュメント』『にほんの建築家: 伊東豊雄観察記』(共にTOTO出版)。7月に『なぜシリコンバレーではゴミを分別しないのか?世界一IQが高い町の「壁なし」思考習慣』(プレジデント)を刊行。

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