それは、応募者数がとても多いことだ。

 特に大企業になると、採用予定数の100倍のエントリーが来ることもある。だから企業側としては、書類選考や適性検査など、いくつかハードルを設けて、一次面接へと至るまでに人数を絞らざるを得ない。そのため「狭き門」の選考方法になりがちだ。

 ゆえに、就活サイトを求人検索型だけに絞ってしまうと、エントリーシートをたくさん出したはいいが、全部落ちて一次面接にすらたどりつけなかったというケースも出てくる。

 とはいえ、求人検索型は就活の基本であり、多くの学生が登録するだろう。たくさんの企業情報を知りたいならリクナビ、マイナビ、中小企業やベンチャー企業に狙いを絞るならあさがくナビといった使い分けもできる。中には、あさがくナビやキャリタス就活しか利用しないという企業も少なからずあるようだ。なるべく他社との競合を減らしたいという狙いがあり、そういう企業は競争倍率が低くなる傾向にある。

企業は「ポートフォリオ採用」
選ぶ時間より登録を最優先

 スカウト型は、求人検索型とは正反対で、企業が学生を検索して探すサイトだ。「OfferBox」「キミスカ」「iroots」などがある。これまで勉強やサークル、バイトなどを通じて学んできたことを学生がプロフィルに書いて登録し、企業がそれを細かく読んでスカウトを出す。そのため、学生は「待ち」の姿勢で就活できる。

 学生が企業を選ぶ目と企業が学生を選ぶ目、どちらがマッチングの精度がより高いか。

 人材研究所代表の曽和利光氏によれば、「学生に就活のプロはほぼいない一方で、企業には採用のプロがいることが多い。自社にとって、どんな人がマッチするかを長年考えている採用担当者がスカウトしてくる。初めての就活で、学生が企業を雰囲気だけで選ぶことに比べれば、採用担当者から選ばれた方が、学生と企業がマッチングする確率が高いと考えられる」という。

 デメリットは、自分が必ずしも希望する企業からスカウトが来るわけではないということ。ただ見方を変えれば、それはメリットかもしれない。自分の考えも及ばなかった分野の企業からスカウトが来れば、「こういう企業が自分を求めてくれるのか」と気付き、それだけ視野が広がるからだ。

 サイトを使える時期も異なる。スカウト型は年中使えるが、求人検索型は基本的に3月にオープンする。就活初期にスカウト型に登録して、どんな企業からスカウトが来るかを見ておき、自分のプロフィルでどんなところがアピールポイントになるのか自己分析する。その上で、求人検索型に登録するという手もありだ。

 スカウト型は、おおむね2人に1人が登録しているという。ここ10年ほどでメジャーなサイトとなっており、利用企業も年々増えている。最近では、企業が求人検索型とスカウト型の両方を使う「ポートフォリオ採用」の傾向が強まっている。

 例えば、人気がある理系の人材を募集する際、企業側は「応募が多い文系は求人検索型で募集し、なかなか応募が来ない理系はスカウト型で募集する」といった感じで複数のサイトを使いこなすというわけだ。人手不足で売り手市場の今、採用チャネルを複線化しないと、本当に欲しい人材が採れないという企業側の苦悩も透けて見える。

「求人検索型、スカウト型には、それぞれのメリット、デメリットがある。それらを補うためにも、求人検索型とスカウト型は両方登録しておきたい。就活サイトを選ぶのに時間を割くくらいなら、掲載するプロフィルも似たようなものだから、すべて登録してしまった方がいい」と曽和氏は言う。仮に興味がない企業から反応があったとしても、初期段階で断ることは何も失礼ではない。企業もその程度は織り込み済みだ。