劉学亮・BYDジャパン代表取締役社長インタビューPhoto by Masato Kato

中国の電気自動車大手、比亜迪(BYD)がこの1月末から日本の乗用車市場に参入する。今や世界トップクラスの電気自動車(EV)メーカーであるBYDは、日本でもEVバスやフォークリフトで徐々に存在感を高めつつある。今回ダイヤモンド編集部は、満を持して乗用車投入に踏み切ったBYDジャパンの劉学亮社長を直撃。日本での販売戦略を聞いた。(聞き手/ダイヤモンド編集部 今枝翔太郎)

BYDジャパン社長が語るEV価格戦略
原材料高騰で値上げはある?

──この1月末から乗用車の日本市場参入が始まります。どういった層をターゲットに販売していくのでしょうか。

 客層のターゲットを絞り込むことはせず、できるだけ幅広い層の消費者に乗ってほしいと思っています。

 地域という点でも、特定のエリアにターゲットを限定することはしません。都市だけでなく、地方の人たちにも乗ってほしい。特に過疎地域では、ガソリンスタンドの減少が顕著なので、今は非常に不便です。過疎地は一軒家が多いですが、もちろんこれらの家々にも電気は通っているので、EVに切り替えることで生活がぐっと便利になります。

 EVの魅力を全国の消費者に知ってもらうために、オンライン販売ではなく、対面での営業にこだわっています。リアルの店舗ならお客様のニーズを測ることもできます。

 日本参入に際し、まず国内に22の拠点を作ります。2025年までに、100拠点に増やすことを目標にしています。

──販売台数の目標は設定していますか。

 台数など、数字の目標はまだ置いていません。日本ではEV市場が十分に形成されておらず、消費者はEVの車種が少ないと感じています。私たちは、そこに新たな選択肢を提供しようとしています。

──価格戦略についてもお聞かせください。

次ページでは、日本での価格戦略を明かす。価格設定の背景に加え、足元の原材料価格高騰を受けた値上げの有無についても聞いている。併せて、高級車や商用車の参入についても赤裸々に語っている。劉社長の話を聞いていくと、日本での販売戦略の全体像が浮かび上がってくる。