緩和傾向にある千葉の入試
1月10日から始まった埼玉の私立中学入試は、栄東(A日程)に史上最高の7880人が出願するなど、全般的に好調だった。では、20日から入試が始まる千葉はどのような状況にあるのか。コロナ禍初年の21年は前年比で志願者数を大きく減らした入試も目に付いた。22年は志願者数の多い千葉私立御三家に次ぐ上位・中堅校に勢いがあった。23年は逆に、御三家が志願者数を戻し、中堅・中位校は全体的に緩和傾向にあるようだ。
千葉の中学入試には三つの大きな特徴がある。一つは、千葉独特の仕組みとして、少なからぬ募集人数の推薦入試を前年末に実施している点だ。もう一つは、志願者を1000人以上集める入試は、千葉私立御三家(市川・東邦大学付属東邦・渋谷教育学園幕張)と大学付属校など、合わせて6校に限られる点である。
そして、東京・神奈川の入試が始まる2月1日に近いこともあって、力試しの受験生が県外からも集まる入試の数は埼玉ほど多くはない点が三つ目に挙げられる。実需中心のため、実倍率2~3倍程度の入試がほとんどで、1.5倍程度が多かった埼玉とは大きく異なる。前回の埼玉入試の記事でも触れたが、受験生が重視すべきは実倍率である。出願者数が変動しても、実倍率が比較的安定しているのは埼玉同様である。
まず、22年12月1日に実施された推薦入試について、出願者数・実倍率を見ておこう。御三家の東邦大学付属東邦(募集人数40人)は、出願者数575人・実倍率14.4倍だった。前年は639人・16倍、前々年は735人・18.2倍であり、その前の年は752人・24.9倍だったことを考えると、緩和傾向が年々進んでいることがうかがえる。
いずれも市川市にある女子2校も、同じ日に推薦入試を行っている。22年からさかのぼってその推移を見ていくと、国府台女子学院(同50人)は147人・2倍、155人・2.4倍、170人・2.6倍と年々緩和している。和洋国府台女子(同45人)は80人・1.4倍、前年は40人募集で84人・1.3倍だった。このように、志願者数は緩和傾向にある。
23年4月に中学校が新設される流通経済大学柏でも、この日推薦入試が行われ、志願者数141人、実倍率1.5倍となった。22日1回を皮切りに、4回の入試を行う。県全体の受験生が増えるわけではないので、JR常磐線沿線の他校受験生が一部流れてくることになるだろう。順調な立ち上がりだ。
千葉の場合、私立中高一貫校であっても生徒募集の中心は高校という学校が多い。公立一貫校は県立千葉と東葛飾の中学付設型、千葉市立稲毛国際中等教育学校の3校のみで、東京・神奈川に比べて、全体的に中学受験が盛んなわけでもない。
多くの学校は入試前日まで出願を受け入れているため、志願者数が確定している入試はわずかだが、20年から22年の志願者数・実倍率と16日12時の時点での23年の志願者数を図1と図2にまとめた。