Zさんが仕事復帰した後の
家計はどうなる?

 Zさんは復帰後に仕事量を減らし、今より約2割少ない年間180万円の手取り収入を得るとしましょう。ご主人の年収は424万円のままなので、これらを合計した604万円が世帯収入です。

 一方の支出は、お子さんの成長に伴って少し増え、月間36万5000円、年間438万円とします。

 世帯収入が604万円、支出が438万円なので、差し引きすると年間166万円の黒字です。

 この166万円は全額貯蓄や投資に回してもよいのですが、もう少し支出を増やしても問題ありません。今回は、予定外の支出がある可能性を考慮して、年間150万円を貯蓄などに回すと仮定します。

 ご主人が47歳から、定年退職の目安である60歳までの13年間で、1950万円(150万円×13年間)を金融資産に上乗せできます。

 Zさんの復帰直後の金融資産額が2700万円ですから、理論上、そこから13年後(Zさんが48歳、ご主人が60歳、お子さんが20歳)の金融資産は1950万円を加えた4650万円に増えていると考えられます。

 ですが、この間に、お子さんが中学生・高校生・大学生と成長し、教育費がかかることを忘れてはいけません。

 お子さんが学習塾や予備校に通う可能性や、私立の学校に進んで学費がかさむ可能性を踏まえて、教育費は中・高・大の10年間で計1500万円とします。

 本来、この時点でお子さんはまだ大学2年生ですが、今回は便宜上、ここで10年分の教育費を一気に支払うことにします。前述の4650万円から1500万円を差し引くと、3150万円の金融資産が残ります。

 ご主人の60歳以降の働き方については、今回は65歳まで働く前提で試算します。

 今のビジネス界では、60歳で一度定年退職し、再雇用された人材は手取り収入がかなり減るケースがほとんどです。ですが、将来は少子高齢化が進んで人手不足が加速し、年をとっても働き続けることが一般的になると想定されます。

 そのため、ご主人が再雇用された際の収入の落ち込み具合は、現在ほどではないと思われます。ご主人の60~65歳の年収は、現在の424万円から約15%減額の360万円とします。

 ご主人が60歳で再雇用された後も、Zさんの年収は180万円のまま変わらないとすれば、世帯年収は540万円です。年間支出も変わらず438万円のままだとすると、年間黒字額は102万円です。

 その2年後(ご主人が62歳、Zさんが50歳)になると、お子さんが大学を卒業し、社会人になります(今回は浪人・留年・大学院進学などの可能性は考慮しません)。