ビジネスマンの男性写真はイメージです Photo:PIXTA

 次に、起業前から所有していたマンションを、事業事務所として事業資産に組み入れる場合の計算方法をご紹介します。

 基本的には、前項のクルマの場合と同様ですが、マンションや家などの不動産の場合、減価償却できるのは建物部分だけです。土地の部分は、減価償却できません。

 たとえば、4000万円で購入したマンションを事業資産に組み入れる場合。4000万円のうち、土地代が1000万円、建物代が3000万円とします。このマンションを新築で購入し、20年が経過していた時点で事業を始めて事務所で使用するようになったとします。

 マンションの耐用年数は47年ですので、これを1.5倍にすると、70.5年になります。1年以下は切り捨てになるので、耐用年数70年として、経過した20年分の減価償却費を算出します。建物の減価償却は定額法なので耐用年数70年では償却率は0.015です。

 3000万円×0.015=45万円→これが1年分の減価償却費
 45万円×20年=900万円→これがこれまでの減価償却の累計額
 3000万円-900万円=2100万円→これが取得価額となります。

 この2100万円を取得価額として、あとは普通にマンション耐用年数47年で減価償却費を算出すればいいのです。

 またマンションではなく木造一戸建てだった場合。これも仮に4000万円で購入、土地代1000万円、建物3000万円ということにします。

 これも上記と同様の計算となりますが、耐用年数が木造住宅の場合は22年です。なので、最初の取得価額を算出する計算では22年の1.5倍の33年が事業前の耐用年数となります。耐用年数33年の場合、償却率は0.031となります。

 3000万円×0.031=93万円→これが1年分の減価償却費
 93万円×20年=1860万円→これがこれまでの減価償却の累計額
 3000万円-1860万円=1140万円→これが取得価額となります。

 この1140万円を取得価額として、あとは普通に木造住宅の耐用年数22年で減価償却費を算出すればいいのです。

 ただし、マンションや家屋などの場合、事業部分と自宅部分があれば、事業部分だけを按分し、上記で算出した減価償却費に按分率をかけたものが、経費計上できる減価償却費となります。もちろん、固定資産税も按分して経費算入することができます。