3 行動する〈突破口〉:変革のブレークスルーと
ビジョン実現のロードマップ

 「チームコンサルティング理論」の最終フェーズは、実行することである。いうまでもないことだが、経営は市場環境を評論したり、顧客ニーズを解釈したりすることではない。ただ、実行することに尽きる。どのような計画を策定しても、実行しなければただの机上の空論にすぎず、経営の成果である「業績を上げること」は実現不可能だ。あくまでもフェーズ1の「知る」とフェーズ2の「選ぶ」は、フェーズ3の「行動する」の前提である。しかし、この実行段階が最も難しい。

 実行における最大のポイントは、今何をすべきかの「ターゲット」を絞ることにある。打つべき対策を総ざらいして重点順位(プライオリティー)を決め、さらに事業戦略や人材・組織、業績などの決定的ポイントやビジョンコンセプトを掘り下げるなかで、一点突破、全面展開のための「狙い」を絞り込む。これがビジョン実現のための突破口である。そして、これを進めるための数値計画と重点年度施策を立て、中期三年間のアクションプラン(ビジョンロードマップ)へブレークダウンする。

 自社の持続可能性をどのようにKGI(Key Goal Indicator/重要目標達成指標)・KPI(Key Performance Indicator/重要業績評価指標)へ反映させられるかがきわめて重要である。戦略・戦術のフレームだけで事は成就しない。逆に、フレーム頼りになる実行は危険なぐらいである。

 私たちはこれまでのコンサルティング経験から、成長企業における戦略実行プロセスには共通点があることを発見し、それを10段階にまとめた「STS(Step to Success/成功への階段)10ステップ」と呼ぶ手法をデザインした。この変革の実行ステップに基づきビジョンロードマップを策定すると、より立体的なアクションプランを描ける。

 実行する社員が「頭がハッキリ、心がスッキリ、体がウズウズ」し、ワクワクするような中長期ビジョンを策定して対外的に宣言する。コーポレートコミュニケーション(インナーブランディング)にも注力し、組織の進化として、主体性が発揮しやすく、多様性を認める体制づくりも併せて考えなければいけない。