変動金利は今も低いまま!
「多く、長く」借りて問題なし

 変動金利は今も0.4%台の超低金利のまま大きな動きはない。現状、固定金利で借りる人は全体の1割もいないのが実情である。その意味で、現時点では利上げによる不動産購入への影響は軽微である。

 筆者は住宅ローンの借り方を指南する立場にある。相談者にとって、不動産購入におけるローンの借り方は最重要事項であり、筆者は「安く、多く、長く」と説明している。

 金利が安い変動金利を選び、頭金をなるべく入れず、できれば全額をローンとする。そして、期間は最長の35年で借りた方がいいという考えだ。

 住宅ローン控除制度で毎年戻ってくる税金は、ローン残高の0.7%である。一方、住宅ローンの金利は0.4%のままだ。そのため、差し引きした0.3%程度の利益が得られる計算になる。

 今の変動金利水準であれば、借りた方が「逆ザヤ」で得になる。住宅ローンを借りると金利を払うどころか、キャッシュが増えるケースの方が多くなるのだ。

 だからこそ、今は様子を見つつ時間をかけて返済するべきだろう。今も金利の「逆ザヤ」が起きているにもかかわらず、早めに「繰り上げ返済」してしまうのはデメリットしかなく損である。

 こうした理由で、今後も変動金利で住宅ローンを借りるメリットは多く、これ以外の選択肢はないに等しい。

 しかし、「変動金利が上がるリスク」について心配する人が増えているのも事実だ。

 異次元の金融緩和が続いていた期間中、筆者はこのリスクについて相談されると、次のように解答してきた。

「金利が上がり始めたら、固定金利に借り換えることを検討しましょう。たいていの銀行が最初は無料で切り替えることができます。その切り替えは、金利が上がり始めてからでも遅くはないので、焦らなくても大丈夫です」

 焦らなくてもよいとした理由は、変動金利には「5年ルール」と「125%ルール」があるためだ。

 5年ルールとは、半年ごとの金利の見直しによって金利が上がったとしても、5年間は毎月の返済額が変動しないというもの。

 125%ルールは、金利上昇から5年が過ぎた際、金利がどれだけ高くなっていたとしても、毎月の返済額が従来の1.25倍以上には増えないというものだ。

 この2つのルールがあるがゆえに、消費者があっという間に返済に困る事態にはならない。だからこそ、切り替えのタイミングを見計らう余裕があるという論法だ。