突然寝たきりにも…「慢性疲労症候群」の恐怖、倦怠感・体中の痛みが消えない新型コロナウイルス感染症に感染したあとに筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群になる方が急激に増えていて、関連が取りざたされている(写真はイメージです) Photo:PIXTA

筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS)という病気をご存じでしょうか?十分な休養をとっても回復しない疲労、微熱、筋肉痛などが6カ月以上続く病気です。国内で約37万人が罹患しているといわれていますが、原因がわかっておらず、治療法も確立されていません。新型コロナウイルスの後遺症として、この病気に似た症状が報告されており、昨今注目されています。筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群とは一体どんな病気なのか――。横山小寿々さんの著書『奇跡を、生きている』(青春出版社刊)から抜粋し、紹介します。

ある日、フライパンが持てなくなった

 仕事に家事に忙しく過ごしていたある日のことです。フライパンを持とうとしたら床に落としてしまいました。

「え?なんでかな、筋肉痛になるような運動していないのに……」

 筋肉の痛みだけでは終わりませんでした。すぐに高熱が出たのです。私は、てっきりインフルエンザにかかったのかと思いました。インフルエンザでも高熱が出て、関節が痛んで、頭がぼんやりしますよね。その状態が長く続いたのです。

 数日たってもそれらは治ることがなく、しだいに首や肩がハンマーで叩かれているように痛みだし、日の光や電気を見るだけで、目が刺されたような痛みを覚えるようになったのです。高熱は治まったけれど、微熱が頻繁に出るようになり、四六時中、鉄の鎧をつけているかのように体が重くてしかたありません。どこかへ出かけても、歩くたびに筋肉の痛みが増していき、そのあとは疲れきってしまい、歩けなくなるのです。そんな日が続く中で、徐々に記憶まで曖昧になってきました。