スタンフォード大学・オンラインハイスクールはオンラインにもかかわらず、全米トップ10の常連で、2020年は全米の大学進学校1位となった。
世界最高峰の中1から高3の天才児、計900人(30ヵ国)がリアルタイムのオンラインセミナーで学んでいる。そのトップがオンライン教育の世界的リーダーでもある星友啓校長だ。全米トップ校の白熱授業を再現。予測不可能な時代に、シリコンバレーの中心でエリートたちが密かに学ぶ最高の生存戦略を初公開した、星校長の処女作『スタンフォード式生き抜く力』が話題となっている。
ベストセラー作家で“日本一のマーケッター(マーケティングの世界的権威・ECHO賞国際審査員)”と評された神田昌典氏も、
「現代版『武士道』というべき本。新しい時代に必要な教育が日本人によって示されたと記憶される本になる」
と語った本書の要点と本に掲載できなかった最新情報をコンパクトに解説する本連載。
6/18に「情報7daysニュースキャスター」、7/2に「朝日新聞be on Saturdayフロントランナー」出演で話題の著者が、シリコンバレーの三菱商事ディレクターと対談。日本人にはなじみのない「リカレント教育」とは一体なんだろうか?
北米三菱商事シリコンバレー支店ディレクター。博士(社会科学)/MBA/修士(工学)
1996年三菱商事入社。宇宙航空機部、自ら立ち上げた社内ベンチャー「ジクー・データシステムズ(株)」を経て金属資源部門に異動。在オーストラリアの資源子会社Vice President等を歴任した後、2016年よりシリコンバレーに駐在。DXプロジェクトやスタートアップ投資を主導するとともに、スタンフォード大学d.schoolで学んだデザイン思考を社内外1200名以上にコーチング
星友啓(以下、星):今回は対談ゲストに「吉成雄一郎さん」をお招きしました。
吉成さんは現在、2016年よりシリコンバレーに駐在されている、北米三菱商事シリコンバレー支店ディレクターです。
DXプロジェクトやスタートアップ投資を主導するとともに、スタンフォード大学d.schoolで学んだデザイン思考を社内外1200名以上にコーチングされています。
今回の対談では、「シリコンバレーと日本のビジネスの違い」や「学びと両立させながら仕事に必要な能力を磨き続けるリカレント教育」などについてお話しいただきます。
日本から海外進出までの多彩な経歴
星:まずは吉成さんのこれまでの活動経歴、また、どのような経緯で海外に進出されたのか、お聞かせいただけますか?
吉成雄一郎(以下、吉成):大学院時代にジェットエンジンに近い研究をしていたこともあり、最初は三菱商事の宇宙航空機部に配属されました。
思い返してみると、とても恵まれていたと自分でも思いますが、新入社員として初めて向かった出張先がシリコンバレーで、ロッキード・マーチン社(アメリカ合衆国の大手防衛・宇宙メーカー)などと商談する機会に恵まれました。
そして、人工衛星が取得した画像を使った新しいビジネスの事業開発に携わることになりますが、次はGPSの波がくるとわかっていたので、GPSデータを扱う会社を自分で企画して立ち上げ、その会社を経営することになりました。
さらにその後、会社の異動で三菱商事の金属資源の分野に行くことになりました。
星:「宇宙航空」や「ソフトウェア」から「資源」へと、多様な分野にチャレンジされてきたのですね。
吉成:はい。当時、中国の急成長の影響を受け、金属資源を扱う鉱山ビジネスが急激に成長していたのですが、その分野に急遽異動することになったので、晴天の霹靂でした。
そこからオーストラリアに駐在となり、Vice Presidentとして原料炭事業会社の経営管理や、パートナーの資源メジャー会社と一緒に鉱山の開発を担当しました。
その後2014年に東京に戻り、今度は銅事業に携わることになります。
世界最大規模の銅鉱山である、チリのエスコンディーダの日本側担当マネージャーをしていました。
鉱山事業は日本ではなじみがないと思いますが、鉱山の現場に立って巨大な鉱山機器が動いているのを見ると、まさに私たちの生活と文明が支えられていることを実感する瞬間でした。
星:実際に現場に行って、直に触れてみないとわからない部分ですよね。
今お住まいのシリコンバレーでは、具体的にどのようなことをされているのでしょうか?
吉成:シリコンバレーでは、AI、IoT、ブロックチェーンなどのテクノロジーを用いたデジタルトランスフォーメーション(デジタル技術を用いて既存の価値観や枠組みを根底から覆すような革新的なイノベーションをもたらすこと)や、スタートアップ企業への投資をしています。
くわえて、スタンフォード大学のd.school(Hasso Plattner Institute of Design)でイノベーションや新規事業を起こす方法論であるデザイン思考を学んだことを活かし、社内外で累計40クラス、1200名以上に「デザイン思考」を教えてきました。
星:なるほど、ありがとうございます。本当に多彩な経歴をお持ちですね。