一方で、外資系企業やベンチャー企業は上記の就活スケジュールに縛られず、早くから優秀な学生にアプローチしているため、企業によって就活スケジュールが異なっているのが現状です。こうした中で、自社を認知してもらう対応策として拡大してきたのが前述のインターンシップです。

 大学3年生が臨む夏のインターンシップや秋・冬のインターンシップは、企業が学生と接点を持つための大きな山場となっています。もともとインターンシップは、企業と学生が相互理解を深めるためのキャリア教育の場という位置づけで始まりました。企業理解を早い段階から深めたい学生と、優秀な学生に自社を知って欲しいという企業のニーズがマッチし、インターンシップに参加する学生・開催する企業とも年々増えています。

変わるインターンシップのルール
オンライン化はますます進むのか

 インターンシップの変遷について、もう少しお話しましょう。採用広報解禁が3月1日となる以前は、インターンシップ等のプログラムの開催自体が現在ほど多くなく、開催期間が複数日にわたる長期間で、就業体験を伴うプログラムの割合も多かったですが、現在は短期間で実施するインターンシップが増え、「1day仕事体験」と呼ばれるような1日、もしくは半日のプログラムが多くなっています。

 就活によって学業が疎かになってはいけないという理由から、前述の採用広報と選考の解禁日に関するスケジュールができました。とはいえ企業としては、多くの学生に自社を知って欲しいという本音があります。そこで、長期間の就業体験より、ワンデーや半日といったより企業説明会の意味合いが強いプログラムの方が、多くの学生にアプローチできると考えて実施しているのです。

 ただ、インターンシップの位置づけも今後変わっていきます。24卒の冬のインターンシップまでは、採用と直結せず、仕事の現場を知る機会を得る場となっていましたが、25年卒の夏のインターンシップからルールが変更されます。

 5日以上の開催で、就業体験が半分以上を占めるなど、一定の要件を満たしたもののみを「インターンシップ」と呼称し、企業はそれらに参加した学生の情報を採用選考に利用してもよいことになりました。その代わり、その要件にあてはまらない、ワンデーや半日のプログラムをインターンシップと呼称することは認められず、これらは「タイプ1:オープン・カンパニー」「タイプ2:キャリア教育」というような名称で開催されることになります。

 最近の就活では、オンライン化も顕著になっています。私が所属する就職職みらい研究所の『就職活動状況調査』(2023年卒)でも、「企業説明会や個別の説明会はウェブがよい」と回答する学生が6割を超えています。

 保護者世代の就活は、就職情報誌に付属する葉書で企業に資料請求することが一般的だったと思います。企業にアプローチするプロセスは変わりませんが、葉書からウェブへとエントリー手法が変わったということです。オンラインのメリットは利便性の高さにあります。費用面での影響も大きく、地方在住者を中心に学生が就活にかける交通費などの費用はオンライン化で4割減り、平均7万円くらいになっています。