口を開けば政治家、学者、マスコミは「金がない」「仕方がない」と、私たちをあきらめさせようとしてきます。「どうせ何を言っても変わらない」。そんなマスメディアを駆使したネガティブキャンペーンに騙されてはいけません。

 政治を変えることは、決して無理なことなんかではない。政治は変えられるし、変わります。

 SNS以外にも政治行政に直接意思表示する方法もあります。

 国でも自治体でも、新しい政策の検討過程で「パブリックコメント」を募集することが多くなってきました。広く市民に意見を聞くための公式の制度です。郵送やメールで意見を役所に直接送ることができます。

「そんなの本当に見るの?」「出しても変わらないでしょ」

 政治に期待していない方は、そう思うかもしれません。でも実際に、きっちりと読んでいます。ここは役所の良いところ。真面目に全件受理し、届いた意見は全部読み、回答も公表します。意見を反映して、計画や条例の内容などが実際に修正されることもあるのです。

 さらに住民の代表である地方議員、国会議員を使う手段もあります。議員に意見を伝え、議会で質問してもらう。署名を集めて陳情する。請願を提出する。政治を動かす方法は、実はたくさんあるのです。

 選挙のとき、候補者に公開質問状を出すこともできます。1人で勇気が出ないなら、同じような意見を持つ周りの人にも声をかけ、複数の声を束ね、みんなで声を上げればいいのです。

 すぐに変わることばかりではありません。それでも政治に何も言わずにいたら、もっと状況は悪くなる。黙ってそんな事態を受け入れる覚悟をするか、あなたが声を挙げるか。政治から目を背けていては、何も変わりません。

まずは市区町村から変えていく

 まちづくりは、市区町村のトップである首長の政治姿勢に大きく左右されます。

 自治体の首長は「独任制」。ある意味、大統領のようなものです。そのまちの制度やしくみを直接変えることができる、大きな権限を持っています。

 同じく市民に選ばれるとはいっても、国会議員は大勢いる中の1人となってしまいます。ですから、できることも限られます。よくいろんな方から「次は国政へ」「国会議員に立候補を」と熱心に声をかけられますが、両方を経験した立場からすると、市長のほうがスピード感を持って実際にやれることが多い。つくづくそう実感しています。

 大統領制のアメリカや韓国では、良くも悪くもトップが変わると社会がガラリと変わります。でも、日本は議員内閣制です。トップの総理大臣を選ぶのは、国民ではなく国会議員です。だから総理大臣は国民ではなく、国会議員のほうを向いて動きがちです。