金融政策の鍵握る「サービス価格」、エネルギー価格影響の“読み間違い”リスクPhoto:PIXTA

資源価格は低下へ
それでも変わらない引締め姿勢

 世界経済にとっての朗報は、これまでの歴史的な高インフレの原動力となってきた供給サイドのインフレ要因が後退していることだ。

 サプライチェーンの混乱による供給制約の緩和に加え、何よりも原油をはじめとする資源価格が総じて低下傾向にあることが大きい。

 ウクライナ情勢の緊迫化や、中国経済の回復など上振れリスクは残るが、資源価格の低下が予想どおり続けば、インフレに対する下押し圧力が掛かり続ける。実際に米国やユーロ圏のインフレ指標をみると、エネルギー関連を中心に、インフレは順調に低下に向かっている。

 ただ、そうした中でも、欧米先進国の中央銀行はタカ派的な姿勢を崩していない。今後の利上げ停止の時期や、その後に続く据え置き期間や利下げ転換時期について、市場の見方は大きく分かれ、大きな不確実性要因となっている。

 中央銀行のタカ派姿勢が変わらない大きな理由は、供給側のインフレ要因が収まっても、既に高まってしまったインフレ期待が、賃金上昇を通じて物価との上昇スパイラルを招いてしまうリスクが残っているためだ。