――「レトリック」というのは、必ずしも実際にはイスラム教を信奉しての行動ではないということか。

 イスラム教のレトリックを用いるのは、野心を掻き立てるためであって、具体的な政治的もくろみがあってのことではないということだ。貧する者たちにイスラムの教えに倣うよう仕向けて、彼らを動かしているのだ。どの組織も同じ方法を用いているが、実際の行動は犯罪的な色彩が強く、目的を達成するために武力やテロ行為に訴える。ことに、政府が高圧的に国家を治めているような場所では、これらの組織も急進的になる傾向が見られる。

明らかなセキュリティー対策不足
アルジェリア政府の失政も

――相手がイスラム教を楯にした強盗組織である場合と、純粋なイスラム教に則った組織である場合とでは、対処方法も変えなければならないのだろうか。

 その通りだ。言うなれば、今回の攻撃を防ぐために必要だったのは、プラント施設を物理的に守る防御策だったということだ。それに対して、マリ北部では、国土の3分の2を占めるこの地域の辺境化と貧困化を解決するための政治的解決策が求められている。

――テロ組織が犯罪組織なのか政治組織なのかは、どう見分けるのか。

 見分けは簡単ではない。なぜならば、その2つの要素はつながっていて、どの組織も2点の間を行き来するからだ。ただ、今回のアルジェリアでの事件について言えば、舞台は人里離れて建設された自己充足的な場所である。潜在的な犯罪の可能性に対して、強化したセキュリティーを敷いておく必要があった。

――今回はプラント内部に内通者がいたともされる。

 それについて、はっきりした証拠は確認されていない。

――先ほど「高圧的」ということばが出たが、アルジェリア政府は、テロ攻撃に対して強攻策に出たことで国際的な批判も浴びている。

 アルジェリア政府は基本的には世俗的(非宗教的)で、これまでもこの組織を高圧的に抑えてきた。だが、一時的には制御ができても長続きはしなかった。