コロナ禍からの収束を待たずに、今度は資源・資材の高騰や円安が企業を揺さぶっている。上場100社超、30業界を上回る月次業績データをつぶさに見ると、企業の再起力において明暗がはっきりと分かれている。前年同期と比べた月次業績データの推移を基に、「嵐」から「快晴」まで6つの天気図で各社がいま置かれた状況を明らかにする連載「コロナで明暗!【月次版】業界天気図」。今回は、2022年10〜12月度のビール編だ。
キリン33%減、サッポロ35%減...
10月は駆け込み需要の反動で大幅減
ビールの主要4社が発表した2022年10〜12月度の月次業績データは、以下の結果となった。
◯キリンビール(キリングループ)のビール類計販売数量
10月度:前年同月比67%(33%減)
11月度:同92%(8%減)
12月度:同93%(7%減)
◯アサヒビール(アサヒグループホールディングス〈HD〉)のビール類計販売金額
10月度:前年同月比71%(29%減)
11月度:同93%(7%減)
12月度:同100%(増減なし)
◯サントリー(サントリーホールディングス〈HD〉)のビール類計販売数量
10月度:前年同月比79%(21%減)
11月度:同98%(2%減)
12月度:同101%(1%増)
◯サッポロビール(サッポロホールディングス〈HD〉)のビール類計販売数量
10月度:前年同月比65%(35%減)
11月度:同93%(7%減)
12月度:同96%(4%減)
*アサヒの月次業績データは数量ベースではなく「金額ベース」
ここで取り上げた4社の22年10~12月の業績を見ると、特に10月の落ち込みが激しい。ただしこれは、22年10月に家庭用ビールの値上げがあり、9月に駆け込み需要があった反動減によるもので、織り込み済みだった減収といえる。
11月も4社がそろって前年実績を下回ったが、12月はキリンが前年同月比7%減、サッポロは同4%減の一方で、アサヒは前年並みに回復、サントリーはわずかながら前年実績を上回った。後者の2社は回復基調にあるようにも見える。
ただ、ビール業界の業績を分析する上で念頭に置かなければならないのは、何といっても新型コロナウイルス感染拡大の影響だ。コロナ禍による行動制限によって個人の家飲み需要の増加はあったものの、飲食店向け需要のダメージは深刻だった。
そこで、22年11~12月の業績についてもコロナ前と比較(22年10月は前述の特殊要因があるので除外)してみると、とても回復基調とは言えない数字が浮かび上がった。次ページで詳しく見て行こう。