新入社員であっても、自分の仕事だけではなく、全体を考える意識は大切にしてほしいと思います。
それと、あまりプライドが高すぎるのも困ります。
これも昔話にはなってしまいますが、僕が営業に出て1年目の時、当時は年末になるとお客さんのところへ集金に行っていたのですが、その際、相手先企業で社長の姿が見えたので、あいさつのつもりで会釈をしました。ところが、ある会社では、社長と目が合ったら、大声であいさつをするのが礼儀だったんです。
僕が会社に戻ると、ある会社から電話がかかってきて、「あなたがあいさつしなかったから、社長が『あんなやつから商品は買わない』と、えらく怒っている」と言われました。
僕は会社を飛び出して、相手先企業に向かいました。
到着してエレベーターに乗り、扉が開くと、目の前に社長の後ろ姿があった。社員全員を集めて年末のスピーチをしていたところに飛び込んでしまったんです。
社員たちはあぜんとして、社長の後ろに立つ僕を見ている。
「これは大変な時に来た」と思い、一瞬、そのままエレベーターの扉を閉めて帰ろうかと思ったのですが、仕方ありません。両手を床について、「社長、さっきはすみませんでしたー」と大声で謝りました。
不意打ちのようになったこともあり、社長はびっくりしていました。でも、その後、その社長とは親しくなり、今でもその会社とは付き合いがあります。
もちろん、僕がやったようなことを今の若い人たちに求める気は全くありません。
何が言いたいかと言えば、学生気質が抜けないまま社会人になると、プライドが邪魔をして、人に頭を下げられないことがある。誰でもそういう瞬間はあります。しかし、大事なことは真面目に誠心誠意、働くこと。そうすれば、自分が何をすればいいのかわかってくるだろうし、周囲の人たちからも理解されるようになるんです。