後継者の条件と
退任のタイミング
――話は変わりますが、岡藤会長は経営トップに就任して今年4月で丸13年となります。自らの後継者選びについては、どのように考えているのでしょうか。
まず言えるのは、当社の外から経営トップを招聘(しょうへい)しようとは考えていないということです。他業界を含めて、外から来た経営トップで、うまくいってる会社の話は、あまり聞いたことがありません。
僕がいつ会長を退任するかについては、「会社にとって何が最も大事なのか」を基準に判断します。
株主の目がある以上、交代した途端に株価が下がったら、大変です。僕が就任したとき、当社の株価は1000円以下だった。それが今では4000円以上で、配当も昔より多い。
それなのに、自分の勝手で、「はい、さよなら、私は自分の生活に戻ります」とはいかないでしょう。株価が下がったら、株主も怒りますしね。だから、すぐには辞められないが、もちろん、次のことは考えています。
創業社長が後継者をどう選ぶのかについて、取引先の人からこんな話を聞いたことがあります。
「自分以外の人間を社長にして、もし、経営がうまくいかなかったら腹が立つ。しかし、逆にうまくいっても、これまた腹が立つ。結局は自分の子供にバトンタッチするか、もしくは自分が死ぬまでずっとやるしかない」と。
創業者や実力のある多くのトップは、こんなふうに考えているのではないでしょうか。僕は創業者でも何でもないし、そんな考えは全くありませんが。
後継者選びについては指名委員会などを設けている企業もあるけれど、やはり、会社の中の人たちの評価、つまり、一緒に働いている人の目で判断すべきです。
正直に言うと、僕は毎年、辞めよう思っています。自分の体力の衰えを自覚したり、自分よりできる人が出てきたら交代したらいい。今朝も「(社長・会長の在任期間が)こんなに長くなったが、いつ退任すべきだろうか」と考えてから、会社に来ました。
(インタビューは2022年12月に実施)