(2)正しい「整理・整頓」のあり方

 先に述べたように、本格的に整理・整頓をやろうと思えば、意外と頭を使います。ひとつひとつの物品と向き合って、「それは必要なものか、不要なものか」「どのように並べれば、最も使いやすいか」と考えていかなければいけません。だから私の会社では、広い部分ですべてをやろうとせず、約1メートル×1メートルを「1マス」と決め、毎朝、その中だけを徹底的に整理・整頓してもらうようにしています。

 オフィスであれば、「今日は机の上」「明日は引き出しの中」「次の日は本棚」などと、ブロックを決めて取りかかるのが効率的でしょう。最初の「整理」の時点で、大切なのは「いらないものを思い切って捨てる」ということです。

 たとえばスタジオジブリの代表取締役プロデューサーとして有名な鈴木敏夫さんは、毎朝、送られてくる書類を全部、自分で開封して取捨選択するそうですが、これも「整理」の重要性をわかっているからだと思います。

 捨てるべきものを放置しておけば、何度もそれを見返したりすることになり、結果的には大量の時間を損失することになるのです。捨てられるべきものが捨てられないと、その場所はいつまでも空白にならないし、必要なものをちゃんと補充しようという気になりません。

 新しいことにいつまでも手をつけられないし、成長の機会を逃し続ける。整理しないと、あらゆることが「始まらない」のです。

 整理が明確にできるように、池田ピアノ運送では、文房具などはほとんど「共有のもの」として、置いておく量を決めました。書類はできるだけデータ化し、とっておかなければいけないものは段ボール箱に入れて「保管期間」をそこに書いておきます。法律で保管期間を決められていない場合は、概ね3カ月くらい。期限を過ぎたら、問答無用でそれを捨ててしまうわけです。そんなふうに徹底しなければ、なかなかものは捨てられないのです。「いつか使うかも」と取っておいたものが、使われることなどは“皆無”と考えましょう。