死に体のクラウンを残すこと
世界ナンバー1ブランドの意地
クラウンの年間販売台数は全盛期のおよそ10分の1にまで落ち込んでいた。その意味でクラウンはほとんど死に体だったといっていい。
それまでのビッグネーム、トヨタでいうならばコロナやマークIIなどと同様に、ビジネス的には消えてなくなってもおかしくない状況であったわけだ。けれどもクラウンはトヨタの象徴、黎明期から続いた伝統のフラッグシップである。その名を捨てるわけにいかなかった。おそらくトヨタは今後もクラウンとカローラだけは何があっても継続するに違いない。クラウンを残すこと。それは世界ナンバー1ブランドの意地でもあった。
とはいえ、言葉は悪いが“死んでいるも同然”の状況である。現状維持などあり得ない。しかもクラウンは一貫してフラッグシップサルーンとして歴史を刻んできた。原点回帰という手法は通じない。だとしたら、どうすればいいのか。