なぜ今、LCAなのか?~データ基盤技術の立ち上がり、自動車の電動化Photo AC

ライフサイクルアセスメント(Life Cycle Assessment、以下LCA)とは、製品やサービスのライフサイクル全体(「ゆりかごから墓場まで」)における、投入資源、環境負荷およびそれらによる地球や生態系への環境影響を定量的に評価する方法で、その評価結果に基づき、製品設計や原材料の選択、製造工程、輸送手段や利用方法などを変革し、ライフサイクル全体で環境負荷を低減させることを目的としている。その意味で、あらゆる産業、あらゆる製品・サービスが関わり、国の政策にも多方面で関係してくる。書籍『LCAが変える産業の未来』では、なぜ今、LCAへの注目が高まっているのか、現在、LCAに関してどのような動きがあるのか、そしてそれをどのように企業活動・企業経営に組み込み、活かしていくかを解説している。

データ流通基盤の重要性

 LCAの取り組みが加速している背景には、その必要性が高まっているということに加え、LCAの有効な実装を可能とする技術が立ち上がってきているということもある。LCAは、サプライチェーンを構成するさまざまなステークホルダーが相互にデータを供与し合って算出する必要があり、そのためにはこれらのデータの連携が可能となるデータ流通基盤が重要となるからである。

 欧州では、企業間のデータ連携プラットフォームGAIA-Xのリファレンスアーキテクチャに基づき、自動車業界ではCatena-Xが、材料・部品から組立、またリサイクルなどをカバーする複数のユースケースでデータマーケットプレイスの実証や実装を進めている。また、サプライチェーン下流の使用段階をメインに、フラウンホーファー研究機構を中心として、Mobility Data Space(MDS)によるデータ連携が進められようとしている。

 データ流通基盤の運用において重要となってくるデータセキュリティに関しては、ブロックチェーンなどのテクノロジーアーキテクチャによって担保する方法も含め、データ開示の制度設計が重要となる。

 また、社内のデータ基盤とデータ流通基盤におけるデータフォーマットのあり方も論点となる。製品LCAは、自社の製品競争力強化のための技術やサプライチェーン改革のための活用に加え、燃費基準などに代わる認証基準としても活用されることを考えると、データ流通の技術だけでなく、サプライチェーン参加者全体が、一定の規格・基準に基づいてデータを連携し、それを使用して算出し、LCAのプロセスや結果を認証する仕組み・インフラが必要とされる。このような認識をサプライチェーン参加者間で共有しながら、実装に向けた推進力が高まってきていると見られる。