男性不妊を支援する
メディアも登場

 近年、ジェンダーレスが進んでいるとはいえ、不妊治療に関する情報は、女性向けが圧倒的に多い。そんな状況を背景に、男性不妊も支援するメディアが登場した。

「正直不妊治療(https://shojiki-funinchiryo.com/)」である。不妊治療に関するトピックやニュースを取り上げたWEBサイトである。「正しい」生殖医療の情報を発信しており、とりわけ男性不妊に注力しているのが特徴だ。

 運営に当たるメンタルヘルステクノロジーズ代表取締役社長・刀禰(とね)真之介氏は、自身が不妊治療を経験したことから、このサイトを立ち上げた。

無意味な不妊治療に1000万円…後悔から誕生した「男性不妊」支援サイト正直不妊治療を運営するメンタルヘルステクノロジーズ代表取締役社長・刀禰真之介氏。自身の不妊治療体験を通して、正しい情報を届けたいとWEBサイトを立ち上げた。

「私は妻が36歳の時に結婚しました。この年で子どもを授かるのは難しいと最初から思っていました。やはりなかなか授かることができずに、妻を説得し夫婦で不妊治療を始めました。多数の論文を読み込み、最新治療の情報を得て専門医に受診。面談の席で医師に質問をしてみましたが、『普通はそんな治療はしない』と言われ、満足できる答えは返ってこなかったのです」(刀禰真之介氏、以下同)

 この医師では難しい。そう考えた刀禰さんは、医師の情報を集め、福岡・北九州市にあるセントマザー産婦人科医院の院長・田中温氏に面談を申し込む。ようやく信頼できる医師に巡り会うことができ、飛行機で北九州へ通うことになる。

 そのかいあって受精に成功したものの、妻は流産してしまう。落胆を乗り越えて、再度挑戦した結果、2022年6月にようやく第1子を授かることができた。

「当時はまだ自費診療だったため、子どもを授かるまでに1000万円以上かかりました。その大半は、正しい情報を知らなかったがために、今思えば意味のない治療を繰り返してしまった結果です」

 刀禰氏は、自身の体験を通して、不妊治療の正しい情報が社会に流通していないことを痛感する。