日銀新総裁の植田和男は
黒田東彦の7学年後輩
東京・世田谷区にある。かつては「教駒」が略称だったが、今は「筑駒(つくこま)」だ。中高一貫校で国立の中・高校としては唯一の男子校だ。私立灘高校(神戸市)と双璧をなす「最強の進学校」だ。
「筑駒」は、1947年の旧制東京農業教育専門学校附属中学校の設立がルーツだ。52年に東京教育大学附属駒場中学校・高校となり、教育大が筑波大に衣替えされたことに伴い、78年からは筑波大学附属駒場中学校・高校と改称された。
だから78年を境に、略称は「教駒」から「筑駒」になった。便宜上、この高校の卒業生はすべて「筑駒」卒扱いで記述する。
日本銀行の新総裁に4月9日付で、マクロ経済学者で元日銀審議委員の植田和男(71)が就任する。歴代最長の2期10年にわたり総裁を続けてきた黒田東彦(78)の後任だ。衆参両院の同意を得て、政府が任命する。
新総裁・植田の誕生は、下馬評にはないサプライズ人事だったが、実は黒田も植田も「筑駒」卒で、植田は黒田の7学年後輩という「高校人脈」を見逃せない。
植田は「筑駒」から東京大理学部を卒業、経済学部へ学士入学し、米マサチューセッツ工科大で博士課程を修了した。東大経済学部教授を長く務め、98年から2005年まで日銀審議委員に就任、「ゼロ金利政策」の導入などに深く関わってきた。
一方、黒田は「筑駒」から東大法学部に進学し、大蔵省に入省して財務官、アジア開発銀行総裁などを歴任してきた。植田とは大蔵官僚と経済学者という間柄。それと「高校の同窓」という誼(よしみ)もあって、密な付き合いを続けてきた。
植田は黒田が続けてきた「異次元の金融緩和」を支持しているが、2%の物価目標の見直しや金融緩和を正常化する「出口戦略」を探っていくことが、新総裁として避けて通れない課題だ。