今、日本が瀕しているエネルギー危機を救うのは、原子力発電所の再稼働だというのが筆者の持論だ。東京電力福島第1原発の事故のことを思うと安全性に不安を持つ人もいるだろう。しかし、発電方法別の死者数に関する統計データを見ると、原子力は火力よりもはるかに安全で、再生可能エネルギーと同等以上の安全性を有することが分かる。(イトモス研究所所長 小倉健一)
知人の酪農家は牛舎の電気料金が
月100万円から150万円に
電気・ガス料金が値上がりし、高止まりしている。電気・ガスを節約していたつもりなのに、電力会社やガス会社から高額な請求が来たというのは、筆者だけではないだろう。
私の知り合いの酪農家は、1カ月100万円ほどだった牛舎の電気料金が、今では150万円にまで値上がりしたという。「このまま値上がりすれば廃業危機だ」と悲しそうに話していた。
この酪農家が利用していた「新電力/自由料金」が先行して料金が上昇する中で、上限で抑えられていた規制料金も値上げ申請されることになった。東京電力は1月23日、家庭向け電力(規制料金)について平均で29.31%の値上げを経済産業省に申請した。この申請は、今年6月からの電気料金に反映される見込みで、今年の夏は、クーラー代の節約を迫られる酷暑との闘いが予想されている。
東北、北陸、中国、四国、沖縄の各電力会社も値上げを申請していて、北陸電力は驚愕(きょうがく)の平均45.84%の値上げだ。この4月から反映される予定で、家計への打撃は計り知れないものになりそうだ。
このような値上げに動いた電力会社がある一方で、関西電力や九州電力など、申請をしなかった電力会社がある。その2社に共通するのは、原子力発電所が稼働していることだ。今回は、日本も世界も直面しているエネルギー問題について解説したい。