2024年の米国大統領選挙
バイデン氏とトランプ氏以外の有力候補は?

ダイアモンド 彼が再び大統領として選出される可能性は極めて低い。「犯罪行為」と疑われる行動や精神の不安定さ、大統領としての能力の欠如など、トランプ氏の問題が次々と明らかになるにつれ、米国人は、より断固とした姿勢で、彼に背を向けつつある。

共和党の幹部や議員の間でも、「トランプは正真正銘の負け犬だ」という認識が広まっている。また、多くの政治献金者や組織が、トランプ氏を支持すべきかどうか再考し始めている。もちろん、その驚くべき政治的な打たれ強さを考えると、彼をまったく考慮に入れないのは早計だが、共和党の大統領候補者に選ばれるとは思わない。

――では、共和党予備選で、誰がトランプ前大統領に勝てると思いますか。

ダイアモンド 今のところ、フロリダ州のデサンティス知事が有力だろう。「デサンティス対トランプ」という構図だ。デサンティス知事が勝つのではないか。

――バイデン大統領の再出馬が取りざたされていますが、80歳という年齢を懸念する声もあります。

ダイアモンド 民主党が中間選挙で善戦したことを考えると、彼は再出馬しそうだ。しかし、年齢を考えると、ペロシ前下院議長のように、後進に道を譲るべきだ。

 バイデン大統領が身を引けば、良き大統領として、歴史に名を残せる。だが、次期大統領選で、彼の功績の多くを覆そうとする共和党候補者に敗れるようなことがあれば、そうはならない。

――有望な民主党候補者はいますか。

ダイアモンド たくさんいる。例えば、中西部の激戦州ミシガンのグレッチェン・ウィットマー知事や、中西部ケンタッキー州のアンディ・ベシア知事、南部ノースカロライナ州のロイ・クーパー知事など、民主党には、大きな成功を収めている知事が多い。

 その3人は、いずれも穏健派だ。ウィットマー知事は、ややリベラル寄りだが。ベシア知事とクーパー知事は、ケンタッキーとノースカロライナという、共和党が強い州を治めている。

 上院議員の中にも、有望な候補者になりうる人が多い。私がもっとも強い印象を持っているのが、東部コネティカット州選出のクリス・マーフィー議員だ。彼は大統領選への出馬こそ口にしていないが、極めて有望な候補者になる資質を備えている。

 また、ブティジェッジ米運輸長官やレモンド米商務長官も有望な候補者になりうる。彼女(レモンド商務長官)は、高い知性と穏健派としての資質を兼ね備えている。

 バイデン大統領の再出馬について、「(トランプ氏などの)共和党候補者を倒せるのは彼しかいない。だから、再出馬しなければならないのだ」という理由づけを耳にするだろうが、そうは思わない。年齢を考えると、私が挙げた有望な候補者になりうる知事や上院議員、高官などに比べ、むしろ不利だと言える。

――それでも、バイデン大統領が再出馬する可能性は高いと思いますか。

ダイアモンド そう思う。