原因となった三つの問題に
必要な再発防止策とは

 ここまで見てきたように大きく三つの問題があった。一つ目は、融雪器の稼働など事前の準備が不十分だったこと。二つ目は、復旧に固執し乗客の降車の判断が遅れたこと。そして三つ目は、指令所や運転・安全部門の体制、オペレーションの不備だ。

 ではどのような再発防止策を講じるのか。まず融雪器については、点火基準を凍結に直結する0度以下かつ降雪が見込まれる場合に改め、近畿統括本部管区内の6時間稼働の底面式融雪器を今年の冬までに側面式または電気式に置き換える。

 また「10年に1度」など特別な注意が呼びかけられる場合など、事象発生以前に対策本部を設置して対応し、あわせて大雪が想定される場合の計画運休や間引き運転を想定した規定を制定する。

 駅間停車については対応を大きく見直し、固定柵が設置された通過線ホームの開放、信号の特殊な取り扱い、退行運転(バック)などを積極的に実施。早期の復旧が見込めない場合は60分以内に降車判断を行う。これは人身事故の運転見合わせがおおむね1時間程度であることを基準にしたという。

 今回、明らかになったさまざまな問題、課題に対応するこれら改善策のうち、注目すべきは駅間停車対策だろう。本来、人が立ち入ることが許されない線路上への降車は鉄道にとって非常手段である。全ての乗客の避難を確認するまで運転再開はできず、影響は甚大だ。

 長時間の駅間停車を引き起こすのは、ほとんどがイレギュラーな輸送障害だ。目まぐるしく状況が変化する輸送障害時に、これだけのリスクを抱える判断を60分以内に下すのは簡単なことではない。再発は許されない中で、かなりの覚悟であることは間違いない。

 だが、本質は各課題への対症療法ではない。JR西日本が台風や地震における駅間停車対策を、他社と比較してもかなり意欲的に進めてきたのは事実である。しかし備えが不十分だった大雪では、ここまでの混乱を引き起こしてしまった。なぜ台風や地震で備えていたことが水平展開されなかったのかが問題の根本である。

 同社は「グループ鉄道安全考動計画2022」の中で、「一人ひとりがリスクを具体的に考える」全員参加型の安全管理を掲げているが、モグラたたきのように課題をつぶすだけでは福知山線脱線事故後、同社が目指す「風土・価値観の変革」は望めない。今回の最大の教訓はそこにあるはずだ。