写真:立憲民主党の旧本部が入っていたビルPhoto:PIXTA

立憲民主党のどん詰まり感が強まっている。党是である「反原発」は、世界的なエネルギー危機や、それに端を発する電気代の高騰によって厳しい立場に追いやられている。また、選挙で手を組んできた日本共産党では、「異論排除」と目される党員除名が明らかとなり、批判を浴びている。立憲民主党は次の選挙で何を訴え、どう戦うのか。(イトモス研究所所長 小倉健一)

原子力の最大限活用を明記した
岸田政権の政府方針

 岸田政権は2月10日、次世代原子力発電所の建設を進め、既存原発の60年超の運転を認める閣議決定をした。この「GX(グリーントランスフォーメーション)実現に向けた基本方針」という閣議決定では、原子力発電を最大限活用すると明記している。

 2011年の東京電力福島第1原発の事故を受けて、原発の新増設や建て替えはストップしていたが、今回の閣議決定では「廃炉を決定した原発の敷地内での建て替え」を念頭に具体化が進むことになる。原発の運転期間は、原子力規制委員会の安全審査への対応などで停止した期間について延長を認めたことになる。

 ただ、そもそも海外で原発を持つ主要国である米国や英国、フランスは原発の運転に上限年数を設定していない。米国は運転期間が40年を経過して以降は、規制機関による審査を通過すれば20年間の延長が何度でも可能となっている。また、英仏は10年ごとに安全審査を実施するが、運転期間に上限は設けていない。

 そして、現在原発の運転期間の上限とされている「40年」という期限について、経済産業省は審議会などで「科学的根拠はない」としている。原発稼働に反対するにしても、運転年数の上限を論点にするのは間違っている。しかし、この運転年数の上限撤廃に反発するのが、反原発を党創設の原点としている立憲民主党だ。