直通列車を使うことが
必ずしも最短ではない

 もうひとつ気になるのはJR直通列車と東横線直通列車の使い分けだ。両列車はともに武蔵小杉駅、渋谷駅、新宿(新宿三丁目駅)を経由するが、西谷駅からの所要時間はJR直通列車が順に21分、37~40分、43~45分。東横線直通列車が21分、39分、約47分と、ほぼ同等だ。

 日中の目黒線直通列車、東横線直通列車、JR直通列車は3系統合わせて10分間隔(西谷駅基準)の運転なので、これら各駅が目的地であれば時間帯ごとにルートを使い分ける必要がある。なお西谷駅~新宿(新宿三丁目駅)間は東急経由で794円(IC運賃、以下同)、JR経由は758円だ。

 もっとも西谷駅から新宿方面に行くのであれば、相鉄本線で横浜駅に出て東横線特急に乗り換えれば50~55分程度、新宿三丁目駅まで618円、横浜駅から湘南新宿ライン乗り換えでも50分前後で739円だ。直通にこだわらなければ選択肢は複数ある。

 新たな直通運転は「ダイレクトアクセス」や「最短○○分」といった言葉で語られがちだが、これはいわば「ベストエフォート」であり、実態とは異なる。これまで見てきたように、直通列車は必ずしも全ての時間帯で有効ではなく、実際に利用する場面では乗り換えルートを選択する必要があるのだ。

 とはいえ、利用シーンが合致する利用者にとっては利便性が大幅に向上するのは間違いない。どんな時間帯、どこに行くのに使えそうか、具体的な数字を見ながらイメージしてみるとよいだろう。