姿勢改善体操「せぼねっち」日本姿勢教育協会が考案AERA 2023年3月13日号より
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背骨を柔軟にする体操

 ノートパソコンを使っている人も多いだろう。どこにでも持ち運びできるのがメリットだが、ネックは、目線の位置が低くなりがちなこと。

 ノートパソコンの下に、本や箱、台などを置く。ノートパソコンの高さを変えたり角度をつけて固定できるノートパソコンスタンドを活用するのも手だ。

 椅子に座ったとき、足が床にペタッとつかなければ、足を置ける台を使用しよう。足首、膝、股関節がそれぞれ90度になる座り方が最適だ。

 前出の平泉さんと同じく、山口さんも「不動」が首・肩こりや腰痛の原因になると指摘する。

「体を1日中、あまり動かさないでいると、関節の動きが悪くなり、背筋を丸めた姿勢や体を左右に歪めた姿勢が定着します。すると筋肉の血流が悪くなり、乳酸などの疲労物質がたまり、痛みが生じるのです」(山口さん)

 山口さんが理事を務める「一般社団法人 日本姿勢教育協会」では、背骨の動きを柔軟にし、姿勢を改善するストレッチ「せぼねっち」を考案。企業や学校での講演で伝えている。最近は子どもたちもタブレットの使用が増えており、背筋が丸まりがち。椅子に座ったままでもできるので、親子で仕事・勉強の合間に取り入れたい。「子どもが卒業式に自然とピンと伸びた姿勢で臨めた」という喜びの声も寄せられているとか。

ツボ刺激のポイント

 知っていると日常的なセルフケアとして役に立つのがツボ。日本医学柔整鍼灸専門学校鍼灸学科専任教員の天野陽介さんが、わかりやすいツボをいくつか挙げてくれた。首こりのツボは指圧で刺激。腰痛は、命門(めいもん)、腰陽関(こしようかん)、気海(きかい)、関元(かんげん)はお灸、それ以外は指圧で。脚の付け根にあるツボ(五枢(ごすう)、維道(いどう)、衝門(しょうもん))は、椅子に座り、鼠径部(そけいぶ)に両手の指を押し込むようにして上体をゆっくり前傾させるとうまく刺激できる。

「指圧は、息を吐きながらゆっくり指を押し込み、息を吸いながらゆっくり指を戻すのがポイント。押したまま指の向きをあちこちに変え、“痛気持ちいい”場所を探しましょう。お灸は、慣れていない人はマイルドな熱さのものから。熱すぎるのを我慢しすぎないようにしてください」(天野さん)

 実は花粉症の季節は、首・肩こりや腰痛を悪化させやすい季節でもある。繰り返すくしゃみで体に緊張が走り、筋肉に疲労が重なるからだ。しっかり対策を講じたい。(ライター・羽根田真智)

AERA 2023年3月13日号

AERA dot.より転載