【ザワつく心が静まる】「不安でたまらない」「イライラする」人は今すぐ祈ろう。「孔雀に乗った仏様」の意外なご利益とは？

仏像や仏画で私たちが目にしているご神仏のお姿や手に持っているもの、表情などには、それぞれのご神仏が持つご利益などに関連した意味があります。それらの意味を知ることで、今ある願いに最適なご神仏により深く祈ることができるようになります。
ここではご神仏それぞれのご利益などについて、嵐山晶さんの著書『願いをこめて、心身を整える　ご神仏なぞるだけ瞑想』から、嵐山さんの繊細で美しいご神仏のイラストとともに紹介します。

人間の持つ「毒」を食らう
「孔雀明王」

　孔雀明王のサンスクリット名は、「マハーマユーリー（偉大なる孔雀）」。
　孔雀は毒蛇や毒虫を食べることから、孔雀明王は人間の持つ「三毒」という煩悩（ぼんのう）を喰らい、仏道を成就させる仏として信仰されました。
　また、さまざまな煩悩を浄化するとともに、雨が降るのを予知するとされ、雨乞いの仏様としても有名です。

柔和なお姿には
理由があります

　孔雀明王は「明王」でありながら菩薩の心を持っており、菩薩らしい柔和な顔と姿をしています。
　一説には、いわゆる不動明王といった明王部とは異なり、「『明』は真言を意味し、孔雀の真言は霊験あらたかであることから『王』をつけている」とされています。そのため、忿怒の顔ではなく柔和な顔をしているとも言えます。
　この絵は、そんな明王の柔和さと優雅さを大切にしたいという思いで描きました。

武器を持たない、
平和なイメージ

　孔雀明王の持物は、倶縁果（ぐえんか）、吉祥果（きちじょうか）、蓮華（れんげ）、孔雀の尾など。武器は持っておらず、平和的で優しい仏様だと思います。そんなお方が乗る孔雀ですから、リアルさでなく、可愛らしさを意識して描きました。
　心の疲れを清らかにして、平穏な気持ちで過ごせるようにしてくださるお姿です。

文・イラスト：嵐山　晶（らんざん・しょう）
東京都生まれ。日本デザイン専門学校卒。主にアジア圏の歴史文化を題材に、伝統的な図像に現代の感覚を取り入れた作品制作に取り組んでいる。挿絵を担当した書籍に『ときめく御仏図鑑』（山と溪谷社）、『龍神とご縁を結ぶ「龍使い®」ノート』（宝島社）などがあり、他の活動に谷中西光寺の御朱印イラスト制作などがある。

監修：小瀧宥瑞（こたき・ゆうずい）
高野山真言宗の阿闍梨。牧野山蓮乗院五十三世住職
高野山大学文学部密教学科卒業。高野山真言宗総本山金剛峯寺において得度。高野山真別処円通律寺において受戒。華道高野山一般華・伝統華師範補任。高野山大学加行道場大菩提院において加行成満。高野山宝寿院道場において伝法灌頂入壇了。主に小野方、三宝院流を中心に一流伝授を受け、真言神道、野沢三十六箇流総許可を受ける。

※本稿は、嵐山晶・著『ご神仏なぞるだけ瞑想』（ダイヤモンド社）から再構成したものです。