したいことがなければ
いやではないことをする

 ただ、それ以前の問題として、時間を忘れてのめり込む領域がない人のほうが多いだろう。

 よって、まずは、1番目で挙げたようなスキルと能力を日々の業務と優秀な先輩から学び、また各種の講座などから積極的に獲得するように努力してみる。そのうち、もしワクワクしてその仕事に取り組むことが楽しくてたまらないような領域や業務に巡り合えたなら、そこから、2に移行するのがよいだろう。そのとき、1でやってきたことは決して無駄にならない。

 いや、そんなに簡単に「ワクワクするようなこと」など、見つからないという人もいるだろう。その場合は消去法で考えてみればよい。

 自分が心底苦手なこと、絶対にしたくないこと、頭痛や腹痛など身体的な苦痛を感じるほど嫌いなことを除いていけば、最後に残ったものは、あなたが(ワクワクはしないまでも)まあまあ、そこまで嫌だと思わずに取り組める作業なり業務なりであるはずだ。

 社内のプロジェクトや、会議、勉強会などに参加したとき、自分がより不快でない、我慢していると自覚する回数が少ない、要するに、自分に居場所がある、座っていても不快でないと感じる場なりグループなり集団なりがあなたに向いているかもしれない領域である。そしてだんだん絞り込んでいき、最後に残ったもの、残った場所を極めていくのがよいだろう。この方法は、案外「はずれ」がないものだ。

 ただ、正直に言うと、上記のようなアドバイスが的を射ているのかについての自信がない。これからの社会は変化し、どうなるか全くわからないからだ。むしろ変化が激しいことだけが確かといえるだろう。

 結局のところ、新入社員が働くこれからの数十年間は、 “変化を常態化する生活”になることだけが決まっていると考えた方がよい。よって、どう転んでも、自分のことは自分で決めていく気概が必要である。最近は終身雇用の人気が再び高まっているとも聞くが、会社にどうにかしてほしいと求めたところで、それはいまや100%無理な話なのだ。

(プリンシプル・コンサルティング・グループ株式会社 代表取締役 秋山 進、構成/ライター 奥田由意)