続いて2024年大統領選の共和党予備選でトランプ氏の最大のライバルと目されているロン・デサンティス・フロリダ州知事も、「ブラッグ検事は検察のオフィスを“ウェポナイズ”(兵器化=政治利用)している」と強い言葉で批判し、他の共和党議員の“合唱”に加わった。
トランプ氏が捜査を受けている
その他の「三つの刑事事件」
このように、共和党はマンハッタン地区検察への攻撃を強めているが、トランプ氏の法的な問題はこれだけではない。つまり、同検察が起訴を見送ったとしても、他の事件で起訴される可能性は十分あるということだ。しかも、そう遠くない将来に。
トランプ氏は現在、少なくとも三つの刑事事件の捜査を受けている。
(1)大統領退任時に国家安全保障に関わる機密文書を不適切に持ち出し、フロリダ州の自宅に保管していたとされる問題
(2)前述した連邦議会議事堂襲撃事件を扇動し、バイデン次期大統領の認定手続きを妨害した件
(3)2020年大統領選の結果を覆すために必要な「1万1780票を見つけ出せ」とジョージア州の州務長官に脅迫まがいの圧力をかけ、同時に「偽の選挙人団」を選定し、連邦議会での選挙人投票に送り込む計画を企てていたとされる問題
(1)と(2)の捜査は連邦司法省によって任命されたジャック・スミス特別検察官が、(3)のケースはジョージア州フルトン郡検察のファニ・ウィリス地区検事がそれぞれ担当している。
実際、トランプ氏ほど多くの法的問題をかかえた大統領経験者はいないが、このような人物を共和党の幹部がいまだに支持しているのは驚きと言うほかはない。
しかも、トランプ氏はすでに2024年大統領選への再立候補を表明しており、仮に検察に起訴されても選挙活動を続けると宣言しているのである。
トランプ氏の起訴により
大統領返り咲きの可能性も
それでは、トランプ氏が起訴された場合の裁判の行方と選挙への影響について考えてみよう。
まず予想されるのは、裁判で有罪か無罪かの評決を下す陪審員の選考の難しさである。通常、陪審員の選考に当たっては公正を期すために、できるだけ事件についての情報や予断、先入観のない人を選ぶように努める。しかし、トランプ氏が逮捕・起訴されれば、全米のメディアがこぞって大々的に報道することが予想され、そのニュースに触れていない人を見つけるのは非常に難しくなるだろう。