自分に必要な老後資金の算出方法

 では、結局のところ「自分は」老後にいくら必要なのだろうか。それは以下のような方法で概算を求めることができる。

 想定される大きな収入-(毎月の不足額×12カ月×年数)-想定される大きな支出

 想定される大きな収入というのは、退職金・相続などで受け継ぐ資産・満期保険金などのことだ。ここから、まずは毎月の不足見込み額に12をかけ(=不足年額)、さらに老後年数をかけた金額を引く。毎月の不足額は、年金受給や家賃収入などで、毎月得られる収入から1カ月の支出額を引くことで求められる。老後年数は想定より長生きして資金不足に陥ることがないよう、長めに想定しておくことが必要だ。こうして出た金額から、さらに老後に想定される住宅ローンの一括返済、住宅の修繕・リフォーム、お墓の購入、旅行、車の買い替えといった大きな支出の合計額を引いたものが、老後に必要な資金となる。

 50代以降のねんきん定期便には、年金受給額の見込み額が記載されているので、自分が将来年金をいくらもらえるのかの目安をしっかり把握しておきたい。また、ねんきんネット(https://www.nenkin.go.jp/n_net/introduction/estimatedamount.html)で試算することもできる。

不安のない老後を迎えるために

 自分の老後資金の概算で出た数字は、あくまでも目安に過ぎない。何十年先の毎月の支出額や、何歳まで生きるのかという老後年数など、想定しきれないことも多いだろう。しかし、年齢などだけで出された平均値よりは、自分の実情に近い金額を出すことができる。

 不安のない老後を迎えるためには、2000万円という数字に踊らされないことだ。まずは自分には老後資金がいくら必要なのか目安を把握し、それだけの老後資金を確保するために今から何をすればよいのかを考えるようにしたい。