今年も、農家が決める「JA支持率ランキング」をお届けする。共済などの金融事業の減益額を、農産物の販売事業の増益でカバーする覚悟を決めた農協が上位を占めた。農家からの評価が高く、財務データも健全な「ベスト21農協」をリストアップしたダイジェスト版をお届けする。(ダイヤモンド編集部 千本木啓文)

首位のJAふくしま未来は
農家の所得を16%も向上!

 農協の職員が共済(保険)の営業ノルマを達成するため、不要な契約を結ぶ〝自爆営業〟などに手を染めていることが問題になっている。その一方で、本業の農業振興に真剣に取り組み、農家から支持されている農協は存在する。

  ダイヤモンド編集部が毎年作成している「JA支持率ランキング」は、「担い手農家アンケート」に回答した農家1738人からの農協の「支持度」と、財務データに基づく「経営健全度」という二つの物差しによって総合的に農協を格付けしたものだ。

 今年1位に輝いたのはJAふくしま未来だった。

  JAふくしま未来の農業は、東京電力福島第一原子力発電所事故後の風評被害との闘いだった。原発事故の影響を受けた飯舘村などを管内に持つJAふくしま未来の2011年の農産物販売高は238億円となり、震災前の10年比で35%減まで落ち込んだ。

 その後、コメを飼料用米に切り替えるなど風評被害に対処しながら、現在は10年比で14%減まで販売高を回復させている。農家の手取りも改善している。組合員の21年の農業所得は2年前から16%も増加した。

 高齢化で農家がリタイアしても生産量を減らさないため、同農協は昨年、就農希望者を育成する「のれん分け」を始めた。1年間で91件の相談があり、15人が農家の下で研修中だ。研修後、独立する際は、農地の確保まで総合的にサポートするという。

 JAふくしま未来の数又清市組合長は、今後、予想される金融事業の減益について、「農産物の販売事業の増益でカバーできるかどうかが勝負だ」と言い切る。そのために、農家数の確保や、集出荷施設の整備を着々と進めてきたのだ。

2位JAたじまの強みは販売力
コメの値上げに成功

  2位の兵庫県JAたじまは農産物の販売力の評価が断トツだった。

  肥料の高騰などで生産コストが上がっているのに、それを農産物価格に転嫁できないことが農家の悩みの種となっているが、JAたじまはコメの買い取り価格の値上げに成功した。

  22年産米の買い取り価格の値上げ幅は減農薬栽培のコメ30キロ当たりで前年比300円、無農薬栽培で600円、有機JAS認証で2100円にもなった。JAたじまは、「価格転嫁できた農産物の販路ランキング」の農協部門で全国1位となっている。

 農家から高評価を得ている133農協を全てリストアップした「JA「支持率」ランキング完全版」については、特集『儲かる農業 下剋上 ピンチをチャンスに』の#4『農家1738人が選ぶJA「支持率」ランキング2023【全国ベスト133・完全版】 』で詳報している。

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