政権交代後も続く
左派系の教育支配
元徴用工問題の解決案を巡る対立が教育界に拡散している。革新系教育者を中心に、契機教育(徴用工問題などなじみの少ない社会的懸案などについて教えること。教育当局の指針によると、教師は社会的懸案について生徒の理解が必要な場合個人的な意見を教える契機教育を行うことができる)を行う動きがあり、教師はそれが教育指針で認められていることを理由に、個人的意見を生徒に教えようとしている。
教育界では契機教育を巡り賛否が分かれている。契機教育を重視する人々は、「教師の自立に任せるべき」といい、教育の中立性を重視する人々は「教育課程に忠実であるべき」という。
契機教育に最も熱心なのが全国歴史教師の会であり、同会は徴用工解決案について「韓国の民主主義の根幹を大きく棄損するもの」として撤回を要求している。
全教組も声明を通じ、日韓の歴史に関する教育に重視していく意思を明らかにしている。
2018年、文在寅前政権は徴用工問題に関し、日本企業が元徴用工への損害賠償を命じる判決を確定する大法院判決が出ると、徴用工問題に関する学習用資料(韓日対立の平和的解決模索のための学習資料)を作り学校に配布した。尹錫悦政権になり、市・道教育当局は契機機育に消極的な姿勢を見せるようになってきたが、依然としてなくなっていない。それがさらに、元徴用工解決案を機に再び広がりを見せているのである。
韓国のある高校で昨年、左派を支持する教員が生徒に政治活動のようなスローガンを叫ばせ、「反日」を強要する事件が起きた。これも契機教育の一環であろう。それに対し、抗議の声を上げる勇気ある生徒もいた。
しかし、それはほんの一握りの生徒である。教員は生徒の成績評価の権限を握っている。このため、多くの生徒は教員が教える従北・反日思想を受け入れる。
金大中(キム・デジュン)、盧武鉉(ノ・ムヒョン)氏の革新政権当時の教育を受けた40代、50代の人々は今でも従北・反日姿勢の文在寅氏を支持する核心層となっているのはこのためでもある。
ただ、最近の若者は、教師から言われたことをうのみにする人々ではなく、日本に来て日本を知る人々なので、彼らの対日認識を金大中、盧武鉉時代のように完全に支配することはできないだろう。