地熱による発電は、石油・ガスが抱える探査リスクと太陽光・風力エネルギーが直面する低リターンという両方の弱点を併せ持つ。ではエネルギー業界にとっての利点は何だろうか。米石油大手シェブロンは2017年に地熱事業を売却したが、再び恐る恐る足を踏み入れ、カリフォルニア州や日本、インドネシアで試験プロジェクトや初期の探査を開始した。他にも英国のBPやシェル、米国のコンチネンタル・リソーシズ、チェサピーク・エナジー、マーフィー・オイルなどが地熱発電の可能性を探っている。投資は小規模だが、エネルギー大手の関心は地熱技術の世界が熱を帯びるのに役立っているようだ。テキサス大学オースティン校やテキサスA&M大学などの研究者グループが1月に公表した調査結果によると、過去1年半ほどの間に設立された地熱発電スタートアップ企業の数は、過去10年間の合計を上回っていた。商用化段階に達した新技術はまだほとんどないが、この業界は「いくつかのブレークスルーの最先端」にいると、米エネルギー省の国立再生可能エネルギー研究所(NREL)で地熱発電プログラムを指揮する地球科学者のアマンダ・コルカー氏は話す。