新業務に新メンバーと取り組むことになりがちな新年度は、個人でも、チームにおいてもパフォーマンスに差が出やすい。この時期に特に起こりやすいのはリーダーとメンバーの「優先順位の食い違い」だ。実は、これをわずか3分間で解消できる手法がある。(モチベーションファクター代表取締役 山口 博)
業務効率の高低が出てしまうのには
「原因」がある
新年度を迎え、新しい業務を担い、チームのメンバーが入れ替わることが多いこの時期は、ひとりひとりの業務効率の高低に変化が出やすい。実はよく観察すると、他の時期に比べて、業務効率が上がる人と、下がる人に二極化されやすく、チームの成果が不安定になってしまう要注意な時期だ。
こうした状況は、チーム全体として「ロケットスタートできたかどうか」、新メンバーが「ソフトランディングできたか、できなかったか」というように言われることがよくある。しかしよく考えてみると、これらは、チームや個人のパフォーマンスの良しあしを、漠然とした印象論で語っているにすぎない。
良しあしを印象論で語っているうちは、具体的な方策が実行できていないと考えた方がよい。このように申し上げると、「分析するには膨大な時間がかかる」「具体的方策がわかれば、既に実施している」「新メンバーで新業務に取り組んでいるのだから、成果が出ないことはしょうがない」という諦めの声も耳にする。
しかし、私はそうは思わない。業務効率の高低に、最も影響を及ぼす原因を見極めて、その原因を解消できればよい。20年来さまざまな企業の各層のビジネスパーソンと能力開発プログラムを実施する中で、メンバーの業務効率にムラが出てしまう「原因」が特定できた。
その原因とは、新年度で特に発生しやすい、リーダーとメンバーとの間の優先順位のズレだ。
「優先順位をつけて実施しよう」と言っておけば、一定期間、同じ仕事をしてきた人同士であれば、期待通りの成果が上がっていたかもしれない。ところが新メンバーと新業務に取り組む状況では、リーダーが期待したタスクが未完了のままだったりして、一向にチームの業務効率が上がらない。大事な点は、優先順位のズレを解消するために、具体的に何をどうすればよいかということだ。