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Aさん:これ、先週行った湖で撮影したんです。
Bさん:きれいな写真ですね。
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Bさん:きれいな写真ですね。どうやって撮ったのですか?
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こんなふうに、相手が話し始めやすいような簡単な問いかけをしてみてはいかがでしょう?
私が主宰する朗読の会で、会員のひとりががんばって素敵な会報誌を作ってくれました。受け取ったみんなが「ありがとう!」「すてき!」とシンプルな感嘆のことばを伝えるなか、「いやあ、すばらしい出来ですよね。この写真はどうやって並べたのですか?」と具体的な質問をした人がいました。すると、作った人は「あっ、気がついてくれましたか? これは……」と饒舌になり、生き生きと説明しはじめました。
苦労したこと、がんばったこと、手をかけてやったことなどを自分からアピールするのは、ちょっと気が引けますよね。でも、誰かが気がついてくれたら、とてもうれしい。
「これだけ集めるとなると、どれぐらい時間かかったの?」「レイアウトも全部あなたが手がけたのですか?」などインタビューしてみましょう。
あまり考えすぎずに、純粋に気になったことや、驚いたり感動したことについて聞いてみればよいのです。きっと「そうそう、そこを話したかった!」と話が弾みますよ。
忙しいかどうかを聞きたいわけではなく
最後に、ちょっとしたあいさつ代わりのひとこととして、よく耳にすることばで、とくに、ビジネスの場面では、「こんにちは」と同じような頻度で使われている、こんな「ちょい足しことば」を復習しましょう。
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Aさん:Bさんとお目にかかるのは半年ぶりでしょうか。
Bさん:はい、お久しぶりです。
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Bさん:はい、お久しぶりです。最近はお忙しいですか?
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今井 登茂子
定価1,650円
(朝日新聞出版)
これは、ことばの意味通りに忙しいかどうかをたずねているわけではなくて、「最近はどうですか?」と相手が近況を話すきっかけをつくったり、いつも忙しい人には働きすぎて疲れていないかな、経済状況が激しく変動しているけれど仕事はうまくいっているのかな、などという気づかいをさりげなく伝えることばです。
「いかがおすごしですか」「お変わりありませんか」のビジネス版と考えてもよいでしょう。さらに、自分から「忙しい」と言うことを良しとしない風潮もあるため、こちらから聞くことで、忙しい人が「忙しい」と言いやすくなります。
このちょい足しことばは、相手が言いたいことを口にしやすい投げかけになります。そして、そこをきっかけとして、話を聞いてあげることもできるでしょう。
(構成/三宅智佳)
※AERA dot.より転載