便秘、生理痛、出産後や更年期の不快症状、冷え、だるさ、むくみ、疲れ、不眠、原因がよくわからない不定愁訴。『すごい自力整体』の著者・矢上真理恵さんは、「不調のほとんどは自力整体で解消できる」と語る。「自力整体」とは「整体施術のプロの技法」を自分におこなえる人気メソッド。体のゆがみを正しい位置へ戻し、筋肉や関節のコリをリリースして、不調を根本から取り除くワークだ。現在、若い世代から高齢の方まで約1万5000人が実践している。東洋医学をベースにしながら効率的に問題解決するのも人気の秘訣。本稿では、「女性のための自力整体」について本書より一部抜粋・編集し、その中身を紹介する。(構成/依田則子、写真/榊智朗)
監修:矢上 裕 矢上予防医学研究所所長、自力整体考案者、鍼灸師・整体治療家
仙腸関節のズレは若さを奪う?
「仙腸関節」(画像参照)にズレのある女性は、生理痛やPMS、不妊、難産、更年期の不調、腰痛、頭痛、肩コリ、便秘、冷え、むくみが発生しやすい傾向です。
とくに、背骨全体がゆがむため、ぽっこりお腹や猫背になりやすくバストの位置も下がるため、年齢より老けこんで見えることも。
仙腸関節のズレをほおっておけば、やがて骨盤底筋も弱くなり、尿漏れや子宮脱など臓器の下垂もおこりやすくなります。
女性特有の不調や悩みをもつ方は、体型が似ている
女性特有の不調や悩みをもつ方は、体型が似ていることに気づかされます。猫背、そり腰、ぽっこりお腹、お尻がぺたんこ、下半身太り、O脚かX脚。これらの特徴は、骨盤のゆがみのサインです。
骨盤には、「仙骨」と「腸骨」があります。その2つを結ぶ「仙腸関節」は、女性の場合、約28日間のサイクルで、開いたり、閉じたりを繰り返しています。
正常な仙腸関節は、排卵日から生理に向かって開き、生理が終わると次の排卵日に向かって閉じていく。
骨盤がゆがんでいる人は、この仙腸関節の開閉が鈍く、それにより婦人科系の痛みや不調が出やすいのです。日ごろから仙腸関節をほぐしたり、その前を通る大腰筋をほぐして、関節の動きをスムーズにしておくことが大切です。
ただし、生理中は経血を排出するために仙腸関節が開こうとしています。この時期にマラソンやバレーボールなど、足に力を入れてジャンプをする運動を過剰に行うと仙腸関節の開きを妨げたり、骨盤がズレやすくなりますので注意しましょう。
出産も更年期の不調も骨盤のゆがみ解消が大事
出産を控えている方は、とくに骨盤が左右非対称にゆがんでいると、難産や出産後の不調が出やすいため、準備として骨盤を正常に整えておくことが大切です。
更年期特有の症状に関しては、長い間、多くの生徒さんと接していると、不調が出る方もいれば、出ない方もいることに気づかされます。
自力整体では、更年期不調といわれる症状は、自律神経の乱れや、ホルモンの減少のほかに、骨盤のゆがみも原因の一つだと考えています。ですから、骨盤のゆがみ解消は、更年期にもたいへん役立ちます。
では、どうすれば仙腸関節のズレを解消できるのか? 今すぐできる「自力整体」を紹介しましょう。
『すごい自力整体』で紹介している「脚を広げて股関節のばし」のワークがおすすめです。
矢上予防医学研究所ディレクター
1984年、兵庫県生まれ。高校卒業後単身渡米、芸術大学プラット・インスティテュートで衣装デザインを学び、ニューヨークにて独立。成功を夢見みて、徹夜は当たり前、寝るのはソファの上といった多忙な生活を続けた結果、心身のバランスをくずし動けなくなる。そのとき、父・矢上裕が考案し1万5000名が実践している「自力整体」を本格的に学び、心身の健康を取り戻し、その魅力を再発見。その後、自力整体ナビゲーターとして、カナダ、ヨーロッパ各地、イスラエルにて、クラスとワークショップを開催。さらに英国の名門セントラル・セント・マーチンズ大学院で「身体」をより体系的に学び、2019年に帰国。現在、国内外の人たちに自力整体を伝えながら、女性のための予防医学をライフワークにしている。
監修者:矢上 裕(やがみ・ゆう)写真右
矢上予防医学研究所所長、自力整体考案者、鍼灸師・整体治療家
1953年、鹿児島県生まれ。関西学院大学在学中の2年生のとき、予防医学の重要性に目覚め、東洋医学を学ぶため大学を中退。鍼灸師・整体治療家として活躍するかたわら、効果の高い施術を自分でできるように研究・改良を重ね「自力整体」を完成。兵庫県西宮市で教室を開講、書籍の出版やメディア出演などで注目され、全国から不調を抱える人々が続々と訪れるようになる。現在約500名の指導者のもと、約1万5000名が学んでいる。著書に『DVDで覚える自力整体』『DVD3分から始める 症状別 はじめての自力整体』(ともに新星出版社)など多数。遠隔地の人のために、オンライン授業と通信教育もおこなう。 写真/榊智朗