「心のすきま時間」の重要性
ここで、最初にお伝えしたように、クリエイティビティには「ぼーっとする時間」が重要な働きをしている、ということを思い出しましょう。
おさらいすると「デフォルト・モード・ネットワーク」は、私たちが集中せずにリラックスしている状態で、あれこれ妄想したり、ぼーっとするときに活性化している脳の部分のこと。
つまり、仕事や勉強に集中しているときではなく、リラックスモードのときに活性化しています。
そのため、何もしない「心のすきま時間」を持つことが、クリエイティブな脳の働きをサポートする上で大切なのです。
たとえば、いいアイデアがほしいとき、いろいろと頭をひねってみても、なかなかよいアイデアが浮かんでこない。
けれど、それを忘れてお風呂に入った際、「はっ」とアイデアが湧いてくる。
そんな体験に誰しもが、心当たりがあるのではないでしょうか?
このイメージが大切です。
ですからたとえば、勉強で子どもを、もしくは、仕事で自分を追い込みすぎずに、まずは「適度な休憩」をすることを心がけましょう。
そのうえで、休憩がしっかりと「心のすきま時間」になるように意識します。
携帯やネットを使うテクノロジーブレイクも効果的ですが、デバイスやコンテンツに集中してしまいます。
そうした外界からの刺激に集中しないですむような、ある種退屈で、「ボーっとできる時間」が大切なのです。
そして、子どもにもこうした「心のすきま時間」の大切さを伝えて、ぼーっとしたり、あれこれと気ままに思いを馳せるような休憩時間を意識できるようにしましょう。
また、「心のすきま時間」はクリエイティビティ以外の「考える力」にもいい影響を与えることがわかっています。
たとえば、「心のすきま時間」は「好奇心」をアップさせます。
なぜなら、物事に集中して論理的に考えたり、既存の枠組みの中で思考することをいったん横に置き、とめどなく考えることで、より斬新で新しく思えるように心のベクトルが向いてくるからです。
さらに「心のすきま時間」はメンタルにも重要な役割を果たします。
集中したり、思考することをいったん止め、脳のオーバーヒートを避けることでストレス状態を和らげる効果が確認されているのです。
このように「考える力」を鍛えようと、根を詰めすぎて脳をオーバーヒートさせてしまったり、集中力ばかり鍛えたりしてしまっては、肝心のクリエイティブな脳にとっては逆効果です。
バランスよく脳を使うには、「心のすきま時間」でデフォルト・モード・ネットワークの活性化もしておかなくてはならない、というわけですね。