ジョブを分解、内容や目的などで分類して
マッチングのプラットフォームを構築する
「新しいワークOS」は、「ジョブ型雇用」の先を行くもので、ラヴィン氏は次のように説明する。
「これまでの仕事内容(ジョブ)を分解し、その分解した要素であるすべての活動について細かく検討します。その活動の内容や目的は何か、反復的な仕事なのか、変化する仕事なのか、独立した仕事なのか。たとえば表計算ソフトで作業するのか、同僚や顧客と対話するのか、肉体労働なのか、精神労働なのか――。それらの要素(タスクやスキル)を分類し、分類した要素や、それをする人の最適な組み合わせを見つけ出し、プラットフォームを構築します。プラットフォーム上では、人とそれらの細分化された仕事が、最適な状態でマッチングされます」。
このコンセプトを人事戦略に適用している例として、食品や日用品大手のユニリーバや大手保険会社の事例が紹介された。たとえばユニリーバでは、ポートフォリオベースのプラットフォーム「ユニリーバ・フレックス(Unilever Flex)」を構築し、従業員が自分のスキルや興味に合わせて、仕事を選択できるようにしているという。
「これまでの欧米企業ではジョブ型雇用が強固な体制として長い歴史を持っているために、ジョブ型雇用から、その先の働き方であるワークOSの活用へは、一筋縄ではいかないことが予想されます。しかし、日本ではジョブ型雇用がまだ根付いているわけではありません。逆にそのことが『リープフロッグ』(新興国などで新しいサービスや考え方が、先進国が歩んだ過程を一気に飛び越えて普及する現象)を起こせる余地があります」(ラヴィン氏)
そして最後に「また、欧米と異なり、人事部門に高い能力を持った人材が集中していることから、日本での変革には大きな期待が持てます」と述べて、講演を締めくくった。