農薬世界最大手の独バイエル クロップサイエンスや独BASFは、農薬使用量半減を目指す欧州連合(EU)の環境保護政策に対応する技術を武器にシェア拡大を図る。両社が開発したソリューションの具体的な成果と、迎え撃つ日系メーカーの勝算に迫る。(ダイヤモンド編集部 千本木啓文)
独企業が、農薬の日本市場4000億円を狙い
農家に提案する「コスト3割減」の新サービス
欧州連合(EU)は2020年、日本に先駆けて農薬の使用を半減させる政策目標を掲げた。欧州発のグローバル農薬メーカーは、その政策に歩調を合わせて環境負荷の低い製品を開発し、他国市場に攻め入っている(日欧の環境政策の違いや、企業の農薬メーカーの研究開発費の格差などの詳細は、『日本市場で独農薬メーカーがシェア拡大攻勢、「20年遅れ」の国内企業は劣勢に』参照)。
最も大胆な事業転換を打ち出しているのが、独バイエル クロップサイエンスだ。
同社は2030年までにグローバルの売上高の30%を、従来の農薬・種子販売から成果(農家が病気や虫食いのない農産物を一定量出荷できることへの対価)ベースに転換する。バイエル クロップサイエンス(日本法人)の坂田耕平社長は「国内市場でも、中長期でデジタル技術を活用した成果ベースのビジネスモデルを模索する」として、矢継ぎ早に農家向けの新サービスを投入している。
次ページでは、バイエルやBASFが開発した、農薬使用量削減と農家所得を両立するソリューションの実績と、迎え撃つ日系メーカーの戦略などに迫る。