現役東大生が、「戦争」を切り口に、世界史の流れをわかりやすく解説した『東大生が教える 戦争超全史』が話題だ。世界史、現代情勢を理解するうえで超重要な戦争・反乱・革命・紛争を丁寧に解説した、教養にも受験にも効く一冊である。古代の戦争からウクライナ戦争まで、約140の戦争が掲載された、まさに「全史」と呼ぶにふさわしい教養書だ。今回は、本書の刊行を記念して、漫画家の三田紀房氏と、著者の東大生との特別対談(後編)をお届けする。

世界的にも注目を集める「元寇」

※【前編】はこちらからご覧ください

東大生
 今回出版させていただいた『戦争超全史』では、3000年もの期間で起きた戦争の歴史を振り返りました。三田先生にとって、歴史上、興味深い戦争はありますか?

三田紀房さん(以下、三田) そうですね、元寇はけっこう注目しています。

東大生が教える「頭に残る」歴史の学び方、そのポイントとは?三田紀房(みた のりふさ)
1958年生まれ、岩手県北上市出身。明治大学政治経済学部卒業。 代表作に『ドラゴン桜』『インベスターZ』『エンゼルバンク』『クロカン』『砂の栄冠』など。 『ドラゴン桜』で2005年第29回講談社漫画賞、平成17年度文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞を受賞。 現在、「ヤングマガジン」にて『アルキメデスの大戦』、 「グランドジャンプ」にて、『Dr.Eggs ドクターエッグス』を連載中。

東大生 『戦争超全史』でも取り上げましたが、当時最強だったモンゴル帝国(元)が日本に攻めてきたというものですね。

三田 そうそう。もしあそこで日本が負けていたら、今の世界ってガラッと変わっていたと思うんです。もしかすると日本も日本でなかったかもしれない。

東大生 本当にそうですよね。最近は「ゴーストオブツシマ」という元軍と対馬の武士の争いがテーマのゲームが話題を集めましたが、元寇は世界的にも注目されていますよね。

三田 「なぜ、日本はあんなにも強い元軍を追い返せたのか?」に世界中から興味が集まっているということですよね。あのとき日本を守った武士たちには頭があがりません。

東大生が教える「頭に残る」歴史の学び方、そのポイントとは?

『ガリア戦記』はめちゃくちゃ話を盛っている!? 

東大生 ほかにはありますか?

三田 ガリア戦争も気になっています。

東大生 カエサルが自らの名声を高めるために行った遠征ですよね。

三田 そうです。以前、とある映画監督と話していたとき『ガリア戦記』がめちゃくちゃおもしろいという話を熱弁されて。

東大生 カエサルが、ガリア遠征の功績を元老院に報告するために書いたとされる手記ですね。

三田 そうそう。あれが、「めちゃくちゃカエサルの都合のいいように書かれて面白いんだ!」って、その映画監督が言っていて気になったんです。カエサルが自分のアピールのために書いたものだから、話を盛りに盛っているようで(笑)。

東大生 たしかに、そう考えて読むとおもしろそうですね。

三田 これを考えると、いつの時代も人って変わらないなと思います。先ほどもお話しましたが、人の感情や想いが戦争の引き金になる。結局、根本的に人が変わらない限り、戦争は終わらないのではないかと思ってしまいます。

東大生 本当にそう思います。『戦争超全史』を制作するなかで、人は本当に絶えず戦争をしてきたという事実に改めて気づかされました。

世界史の流れは、「戦争」から学ぶと理解しやすい

三田 そうもそも、なぜ今回、東大生が戦争の本を出されたのですか?

東大生 戦争を通して世界史を見ると、非常に理解しやすいと思ったからです。戦争は、歴史の重要な転換点になっていることが多く、世界史とは戦争の歴史であると言っても過言ではないと思います。

三田 たしかに、その視点はおもしろいですね。

東大生「ドラゴン桜」でもこんなセリフがありましたよね。これまでにない世界史の入門書として、受験生や世界史を身につけたい方など、多くの方にこの本が届くといいなと思っています。

東大生が教える「頭に残る」歴史の学び方、そのポイントとは?©三田紀房/コルク

東大生 そろそろお時間のようですね。三田先生、本日はお時間をいただき本当にありがとうございました。

三田 いえ、とても楽しかったです。こちらこそありがとうございました。

東大カルペ・ディエム
現役の東大生集団。貧困家庭で週3日アルバイトをしながら合格した東大生や地方公立高校で東大模試1位になった東大生など、多くの「逆転合格」をした現役東大生が集い、全国複数の学校でワークショップや講演会を実施している。年間1000人以上の生徒に学習指導を行う。著書に『東大生が教える戦争超全史』(ダイヤモンド社)などがある。