生産性向上やイノベーション創出にとって
対面は本当に有効か
クアルトリクスという顧客や従業員体験のマネジメントプラットフォームを提供する企業の日本法人が2023年2月に発表した従業員体験の調査によると、日本で働く人たちがリモートではなく、対面で行った方がよいと思う項目について、以下のグラフのような結果が出ています。
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「人脈づくりや信頼関係の構築」では対面で行う必要があると考える人が6割を占めています。ところが面白いことに「従来とは異なる新しい発想の創出」、つまり創造性やイノベーションにつながる部分や、「企業文化の醸成」に対面が必要と考える人の割合は、他の項目より低いのです。また「生産性の高い働き方」でも、対面を必要と考える人は半数以下です。
この結果を見る限り、少なくとも日本で働く一般社員は、生産性や創造性を高めるためには必ずしもリアルで会わなくてもよい人が多いと分かります。一方、信頼関係の構築、すなわち心理的安全性に近い領域については対面が重要と捉えられているということになります。
このように見てくるとやはり、職場回帰をさせたい企業と従業員が考えていることの間にはギャップがあると感じます。企業側は単純に、慣性に従ってリモートワークを元に戻そうとするのではなく、新しい働き方を模索する必要があるのではないでしょうか。その模索の中で、もう一度仕事の価値とは何かということを考え、その上でどのような環境が適しているのかを、改めて考えるべきだと思います。
(クライス&カンパニー顧問/Tably代表 及川卓也、構成/ムコハタワカコ)