
メガバンクに地方銀行、第二地方銀行、信用金庫に信用組合――。全国の金融機関が直近の2年間で、どれだけメインの融資先企業を倒産させてきたのか。ダイヤモンド編集部が独自に調査し、2025年最新版として取りまとめた結果を実名で公開。特集『融資先企業を「倒産」させた金融機関ランキング2025』の#3では、岩手県の金融機関を取り上げる。(ダイヤモンド編集部編集委員 清水理裕)
岩手県で融資先企業を最も倒産させてきた銀行は?
岩手銀行、北日本銀行が倒産させた企業は何社?
岩手県内のトップ行である岩手銀行が3月24日、大和証券との包括業務提携で、最終契約を締結した。大和証券は来年5月に岩手銀行の顧客の証券口座を引き継ぎ、一括管理する。岩手銀行のメリットは取り扱う金融商品が増えることだ。
地方銀行が大手証券と手を組んで、金融商品のラインアップ拡充や、販売力を強化する動きは各地に広がっている。例えば、野村證券は山陰合同銀行(島根県)などと提携。大和証券による同種の包括提携は、四国銀行(高知県)という先例がある。
地銀の狙いは収益力の向上にある。地銀の株価は総じて割安で、岩手銀行のPBR(株価純資産倍率)も0.3倍を切っている。アクティビスト(物言う株主)の標的になるリスクがあるため、地銀各行の危機感は強い。株価低迷の背景もあり、大手証券と提携する流れが岩手県にも上陸したわけだ――。
銀行の収益力が向上し経営が安定することは、銀行のみならず、その融資先の企業にとっても、大きな意味を持つ。なにしろ銀行にとって、企業への資金の貸し出しは中核的な収益基盤となっている。その企業を成長させて生かすのも銀行だが、危機に陥った際に命運を握るのも銀行だからだ。特に企業にとってのメインバンクは、倒産するのか、しないのかという局面では、重要な鍵を握る。
メインバンクとは通常、貸出金のシェアが首位で、当該企業と長年にわたって親密な関係にある銀行のことを指す。ただ、企業側と銀行側で認識が異なっているケースもある。
2024年の全国の企業倒産件数は、11年ぶりに1万件を超えた。今後も倒産件数の増加と金融機関の融資姿勢が、厳しくなるのは必至とみられているが、どの銀行が今後、企業に厳しく臨むのか――。それを知るには過去に注目するとよい。その銀行の将来の行動を最もよく表しているのは、口先のきれい事ではなく過去の行動なのだから。
メガバンクに地銀、第二地銀、信用金庫に信用組合――。全国の金融機関が直近の2年間で、どれだけメインの融資先企業を倒産させてきたのか。ダイヤモンド編集部が独自に調査し、25年最新版として取りまとめた「融資先企業を『倒産』させた金融機関ランキング」を実名で公開する。
今回は、岩手県の金融機関を取り上げる。岩手銀行や北日本銀行のほか、盛岡信用金庫などの信金も名を連ねた。
ちなみに「金融機関が倒産させた企業数の多い都道府県ランキング」は、下表の通りだ。地銀や信金、信組など主な金融業態の内訳も明記したので、ご覧いただきたい。
ランキングは、50本以上の記事として配信していく。全都道府県と全金融業態を網羅した完全版を含めて、さまざまな視点でお届けする予定だ。それでは早速、今回の岩手県の結果を確認していこう。